【2月7日 AFP】エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領の退陣を求めるデモが続くエジプトで6日、オマル・スレイマン(Omar Suleiman)副大統領は2週間におよぶ反政府デモの収拾に向けて、穏健派イスラム原理主義組織・ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)を含む野党勢力との対話に臨んだ。

 マグディ・ラディ(Magdi Radi)政府報道官によると、双方はスレイマン副大統領が提示した改革案を協議し、改憲の可能性を協議する目的で判事と政治家で構成される憲法改正準備委員会を3月の第1週までに設置することで合意した。このほか、政治犯の扱いに関する苦情受付機関の設置、メディア規制の緩和、「治安状況に応じて」との条件付きでの非常事態法の解除、外国からの介入拒否などでも合意した。

 一方、スレイマン副大統領は、ムバラク大統領の任期終了まで同副大統領に実権を委譲するとの反政府勢力からの要求については拒否した。

 ムバラク政権側は野党との対話に踏み切った背景には、2週間におよぶ大規模な反政府デモで、これまでに300人が死亡していることに加え、国際社会からも平和的な民主的統治への移行を求める圧力が高まったことなどがある。

 だが、この日の対話に出席した野党勢力は一部にすぎず、反政府運動を主導する主要人物のモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)前国際原子力機関(IAEA)事務局長も招かれていない。

 首都カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)は同日、日が暮れた後も、多数の反政府デモ参加者で埋め尽くされている。デモ参加者らは、スレイマン副大統領と野党との対話が開始された後も、ムバラク大統領退陣を求める抗議デモは止めないとの意思を明確にしている。(c)AFP/Sara Hussein