【1月25日 AFP】中国の研究者らは、内モンゴル自治区の白亜紀後期(8400万~7500万年前)の地層から、前脚の指が1本しかない新種の小型恐竜の化石を発掘したと、24日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表した。ティラノサウルス・レックス(Tレックス、Tyrannosaurus rex)の祖先とも考えられるという。

 発見されたのは、前脚、後脚、脊椎、骨盤などの部分的な骨格化石。体長は1メートル足らず、体重はオウム程度で、肉食恐竜である獣脚類の新種に分類され、「Linhenykus monodactylus」と名付けられた。前脚の指は1本で、土を掘って地中の虫を食べていたと考えられる。

 論文を共同執筆した英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のマイケル・ピットマン(Michael Pittman)氏によると、鳥類の祖先でもある獣脚類はもともと前脚の指が5本だったが、進化の過程で3本に減った。2本指のTレックスは特異な例だが、(Tレックス以前の)Linhenykusが1本指だったことは、獣脚類の指が複雑に進化したことを物語っているという。

 Linhenykusの指がわずか1本に減ってしまった原因は不明だが、論文は「ほかの2本が欠落したことは自然選択の結果にほかならない」としている。(c)AFP