【12月1日 AFP】網膜の微小血管をデジタル撮影して観察する手法で、大気汚染と心臓病リスクの関連性を見出すことができたとする論文が、30日の医学誌「PLoS Medicine」に発表された。

 米ワシントン大(University of Washington)などの研究チームは、心臓病歴をもたない45~84歳の女性4607人を対象に、微小血管をデジタル写真に収めた。空気汚染の短期的・長期的影響をみるため、撮影の2年前と撮影前日に、各人の自宅の空気汚染レベルを測定した。

 網膜血管に焦点を当てた理由は、体中に走っている微小血管の代表格である上に、メスを入れなくても容易に観察できるためだ。

 写真で見ると、低レベルの汚染に短期間さらされた人の微小血管は、実年齢より3歳老けていた。高レベルの汚染に長期間さらされた人の微小血管は、実年齢より7歳老けていた。

 これは、女性が高レベルの空気汚染にさらされると、心臓病発症リスクが3%増加することを意味する。高レベルの汚染にさらされるほど血管は細くなっており、狭小幅は髪の毛の100分の1程度に過ぎないが、体中の微小血管が同様に影響を受けているとすれば、重大な健康問題を引き起こしかねない。 

 また、研究における汚染レベルは米環境保護庁が定める基準値を下回っていたが、それでも微小血管に悪影響を及ぼしている可能性があるとみられている。(c)AFP