【11月22日 AFP】PCゲーム愛好家たちはこの冬、地球を気候変動による破滅から救うという、困難な使命に立ち向かうこととなりそうだ。

 英国オックスフォード(Oxford)のPCゲームメーカー「Red Redemption」が開発した戦略ゲーム「Fate of the World(世界の運命)」は、地球を気候変動や資源の枯渇から守りながら、人口増加によるエネルギー消費や食糧需要の増加、住宅問題を解決するというゲーム。

「現代から200年後までの様々なシナリオが用意されている。地球を救うのも、破壊するのもプレーヤー次第だ」と、ゲームを開発したゴビオン・ローランズ(Gobion Rowlands)氏(35)は説明する。

■世界の環境政策で敏腕をふるえ!

 プレーヤーは、架空の地球環境機関「GEO」の局長として、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林における樹木の伐採禁止や、ヨーロッパの公共交通機関の前面電化、アジア全域での一人っ子政策導入といった政策を策定・実施できる。

 だが、こうした政策は、深刻な余波をもたらすことも念頭に置かねばならない。

 例えば、自然資源保護を目的に出生率を低く抑えれば、労働人口が激減するリスクが高まる。80歳まで労働を強いられることになった人々は、「GEO」に反乱を起こすかもしれない。

「もしプレーヤーが地球を破壊してしまったとしても、環境問題について多くを学ぶことができるだろう」と、ローランズ氏は期待する。

■国際統計を多数利用、専門家も参加――環境団体にも好評

「Fate of the World」は、米航空宇宙局(NASA)、国連(UN)、オックスフォード大学(University of Oxford)などの科学・経済・人口統計資料を基にしている。また、同大の気候変動専門家、マイルズ・アレン(Myles Allen)教授も開発に加わった。

 アレン教授は、「プレーヤーは人類が実際に直面し得る決断を下す体験ができ、簡単な解決方法などないことをはっきり理解できる」とゲームの意義を語った。

 ゲームのグラフィック面はシンプルだが、環境団体や開発団体にも好評だ。英国を拠点とする国際NGOオックスファム(Oxfam)の英デジタルキャンペーン部門を率いるジェド・バーカー(Ged Barker)氏は、「気候変動問題を語る新たな手段で、これまで届かなかった人びとへのリーチ獲得にも役立つ」と、ゲームを歓迎する。

 現在、ベータ版がダウンロード提供されている。フルバージョンは来年2月公開で、価格は20ポンド(約2700円)。3月から順次、フランス語、スペイン語、ドイツ語バージョンを発売する。(c)AFP/Beatrice Debut