【8月31日 AFP】イタリア北部ベネチア(Venice)で開催中の第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展(Architecture Biennale)のシンガポール館では、「1,000 Singapores: A Model of a Compact City(1000シンガポールズ:コンパクトシティーのモデル)」と題した展示が行われている。

 シンガポールはマレー半島の突端沖にある小さな島国。面積は約710平方キロで、1000倍してもイタリアの面積の2倍、地球上の全陸地面積合計の0.5%にしかならない。
 
 そのような狭小な土地であるにもかかわらず、シンガポールは20年後の最大人口を650万人とする都市計画を検討している。これは世界の人口の1000分の1にあたる人口だ。

 展示は省エネルギー、合理的な輸送、カーボンフットプリントの削減など、コンパクトであることの利点をアピールしている。シンガポール館のリードキュレーターを務めるKhoo Peng Beng氏はシンガポールについて、「島、国、都市として非常にゆっくりと自らを作り上げてきた」とし、「建築、社会システム、輸送システム、ゴミ処理などが一体的に機能している」と説明する。

 世界で最も豊かで住みやすい都市との評価を受けるシンガポールは最近まで、香港(Hong Kong)や東京(Tokyo)のような混雑した印象を避けて通ってきた。しかし、移民や出稼ぎ労働者が地元住民と場所の奪い合いを始め、2つの巨大カジノリゾートが数か月前にオープンし、観光産業も活気づいている。自動車保有台数も急増した。一方、6、7月には集中豪雨による鉄砲水が発生して大混乱し、シンガポールが急速な都市化による副作用に対処できるのか疑問視もされた。

 Peng Beng氏は「あの建築の環境が世界を救い、人びとを救い、国を救うことができるのだと考えるのは、英雄的な気分だ」とし、「居住の形について考えてほしい。たくさんの土地を使い続ける必要はないのだ」と語った。(c)AFP/Gina Doggett


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