【8月25日 AFP】ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)に住むホワイトテリア犬の「ピエール」は定期健診で腎臓疾患が見つかり、透析が必要な身となった。だが、飼い主の20代前半の女性、シベーリ・ドミニゲス(Cibele Dominigues)さんは心配していない。サンパウロには南米で最先端の治療が受けられる動物病院があるからだ。

 バルテル・ヨシオ・アト(Valter Yoshio Hato)院長が3年前に開院したこの動物病院では、ペット専用の人工透析の設備が完備されているほか、24時間の介護体制が敷かれている。大半のブラジル人にとって手の届かないレベルの医療サービスだ。

 数週間におよんだ入院費用は高額であることを認めながらもシベーリさんは、「ピエールは快適に過ごしているの」と満足そうだ。翌日には退院できるそうだ。

 アト院長によると、来院するペットの80%がイヌで、15%がネコ、残りはサルなどの動物だ。時にはイグアナを診察することもある。同医院の診察料は45ドル(約3800円)だが、これは国から診療報酬を受ける医師に人間の患者が支払う金額の約2倍だ。

 アト院長の動物病院では、手術室が3室、入院するペットに夜間も付き添う飼い主のための専用宿泊室が3部屋ある。また、水中理学療法用のトレッドミルなどを備えたプール、ペットフードからペット用ジャケットまであらゆるペット用品が揃う24時間営業の大型ペット用品店、シャンプーやブローなどのトリミングサービスが受けられるペット用美容室まである。

「ピエール」が入院する病院のほかにもサンパウロ市内で複数の動物病院を経営するアト一族は、さらに動物病院を建設する計画だ。これに負けじと、競合するほかの動物病院も同様の豪華なサービスを提供している。

 背景には、富裕層はより豊かになり、暮らしに余裕のある中流階級を生みだした好調なブラジル経済がある。このため、ペットのためならば多額の出費も惜しまない飼い主に溺愛されたペットたちが急増している。(c)AFP/Marc Burleigh

【参考】人間よりもよい治療、ブラジルの高級ペット病院 (動画)