【7月25日 AFP】中国・四川(Sichuan)省の臥龍(Wolong)のパンダ保護研究センターで、妊娠中のパンダ4頭を自然のなかで生活させる試みが開始された。  中国・国営新華社(Xinhua)通信によると、4~5歳の妊娠中のパンダが、研究センターの敷地内にある2ヘクタールの森に放された。パンダたちは出産後、子どもが3~4歳になるまでここで暮らす予定になっている。  研究センターの専門家、タン・チュンシャン(Tang Chunxiang)氏は、「選ばれたパンダたちは皆野生で暮らした経験があり、うち3頭は子どもを生んだ経験もあります。母親たちが、野生で生きていくためのスキルを子どもたちに教育することを期待しています」と語った。この試みは、生まれた子どもたちに野生で繁殖させるための準備だという。  中国国内の野生のパンダは1590頭ほどとみられる。これまで、飼育したパンダが野生に返されたのは1度だけ。2006年に野生に返されたオスのシャンシャン(Xiang Xiang)は、10か月後に死んでいるのが発見された。ほかの野生のパンダに殺されたとみられている。  今回放されるメスのパンダたちは人間の助けなしで子どもを育てるが、作業員らが監視カメラを通して見守るという。  タン氏は、「どうしても助けが必要そうであれば、作業員がパンダに見えるような格好をして現場に赴きます。人間からの自立を進めるためです」と語る。パンダの警戒心を高めるために、天敵の鳴き声やにおいもシミュレートするという。(c)AFP