【7月13日 AFP】韓国政府は、韓国人男性と外国人女性の結婚の適正化に向けた施策を導入する。同国人男性と結婚したベトナム人女性が夫に殺害された事件を受けての措置。

 殺害されたのはホーチミン(Ho Chi Minh)出身の女性(20)で、来韓して8日後の8日、釜山(Busan)で47歳の夫に殺害された。男は自首し、妻と口論になった際、妻を殺せという「霊の声」が聞こえたと供述している。警察によると、この男は2005年7月以来、57回にわたり統合失調症の治療を受けていた。

 この事件をきっかけに、韓国法務部(法務省に相当)は、これまで研究を続けていた、外国人妻に対する虐待を減らすための多くの施策を明らかにした。

 法務部幹部はAFPに対し「精神疾患歴や暴行犯罪歴のある人物や国際結婚を3回以上繰り返している人物の外国人配偶者に対するビザ発給を規制する方針だ」と語った。また、外国人女性との結婚を希望する韓国人男性に、人権や外国の慣習・文化を学ぶ教育を受けさせる方針だという。

■人身売買のようなケースも

 09年に結婚した漁業や農業に従事する韓国人男性のうち、3分の1以上が外国人女性を妻に選んでいる。こうした女性の大半を中国や東南アジア出身者が占めている。その理由の1つに地方での生活を望む韓国人女性を見つけることができなかったことがあげられる。

 韓国の国際結婚あっせん会社は韓国の独身男性向けに、結婚相手探しを目的とした短期間の海外旅行を企画している。結婚相手候補との初対面から結婚式・新婚旅行まで、1週間もかからないのが普通だという。

 虚偽の約束や宣伝文句にだまされて韓国人男性と結婚した外国人女性もおり、そうした女性は、資産がほとんどない男性やアルコール依存症など健康上の問題を抱えた男性、あるいは単に偏屈な男性との結婚生活を余儀なくされることもある。こうしたカップルは離婚することが多いが、自殺や配偶者の虐待につながるケースもあるという。

 カンボジア政府は3月、人身売買の防止を名目に、自国民と韓国人との結婚を一時停止する措置を取った。この措置は、予防措置が講じられたとして、1か月後に解除されている。

 韓国が導入する予定の新たな規則では、国際結婚あっせん会社の社員が外国人女性に、配偶者や韓国での生活について虚偽の情報を提供した場合、最大2年の懲役刑もしくは重い罰金刑が科されることになる。(c)AFP