【7月3日 AFP】メキシコ湾(Gulf of Mexico)の原油流出事故で現在までに流出した原油量は計190万~360万バレルに上り、ついに同種の事故で史上最悪となった。メキシコ湾では3日、台湾企業の巨大タンカーを使って原油をすくい取る作業が始まった。

 米ルイジアナ(Louisiana)州から50キロの沖合で英エネルギー大手BPが操業していた石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」が4月22日に爆発・水没事故を起こして以来、メキシコ湾には日量3万5000~6万バレルの原油が流出し続けている。

 原油流出防止システムによりこれまでに約55万7000バレルの原油が回収された。3隻目の回収作業船を投入することで回収量を日量2万5000バレルから5万3000バレルに引き上げようとしているが、メキシコ湾の悪天候により配備が遅れている。泥やセメント注入で原油流出を完全に食い止めるのは、早くても8月中旬と見込まれている。

■過去最悪の事故に 

 1979年に同じくメキシコ湾で発生したIxtoc油田の原油流出事故は食い止めるまでに9か月かかり、原油約330万バレルが流出した。しかし、今回の流出事故は最悪の計算だとすでにその量も超えたことになる。

 今回の事故を超える量の流出は、1991年の湾岸戦争(Gulf War)でイラク軍がクウェートの油田を破壊して放火し、故意に流出させた600万~800万バレルの流出のみとなっている。(c)AFP/Allen Johnson