【6月9日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は8日、米史上最悪とも言われる米南部ルイジアナ(Louisiana)州沖のメキシコ湾(Gulf of Mexico)での原油流出事故について、英エネルギー大手BPのトニー・ヘイワード(Tony Hayward)最高経営責任者(CEO)を軽々しい発言が多いとして非難するとともに、メディアに登場する評論家らも批判した。

 ヘイワードCEOは原油流出量の見通しについて「たいへんささやかだ」と語るなど、その冷笑的なコメントと発言のトーンに一部の米国人は不快感を覚えている。オバマ大統領は米テレビ局NBCの「トゥデーショー(Today Show)」に出演した際、「そうした発言をするなど、彼はわたしに力を貸してくれるつもりはないのだろう」と語った。

 ヘイワードCEOは、その後発言について謝罪したが、17日には米議会下院の委員会で流出事故について証言する予定になっており、ここでも厳しい批判の矢面に立たされるとみられている。

 オバマ大統領は、評論家などから原油流出の対応への熱意に欠けているなどと批判されており、さらなる政治的ダメージを避けようと躍起になっている。この日も、対応の指揮を執っている沿岸警備隊のタッド・アレン(Thad Allen)司令官が会見し、原油の処理には数か月かかるとみられるものの流出原油の回収には一定の進展があったと発表した。

 オバマ大統領は、政治的な策をろうしている時ではないと強調するが、その発言は徐々に政治的色彩を帯びるようになっている。オバマ大統領は事故への対応が遅く、クール過ぎるとの批判に対してそれにはあたらないと反論し、「誰が悪いのか」を突き止めるつもりだと語った。

 また同大統領は8日、来週ミシシッピ(Mississippi)、アラバマ(Alabama)、フロリダ(Florida)の3州のメキシコ湾沿岸地域を訪問すると発表した。オバマ大統領が原油流出事故の現場を訪問するのは4度目となる。(c)AFP/Stephen Collinson