【3月31日 AFP】ウェブ検索結果の検閲をめぐる米グーグル(Google)と中国政府の騒動は、グーグルにとって中国のインターネット検索市場からの撤退だけでなく、中国のモバイルウェブ市場からの締め出しにもつながるかもしれない。

 グーグルが中国の検閲を回避するために中国向け検索サイトを香港(Hong Kong)から提供するようになって以来、携帯電話事業者や携帯端末メーカーは、早くもグーグルに背中を向け始めているようだ。

 契約者数が7億5000万人と、世界最大の携帯端末市場である中国にあって、最大手の中国移動通信集団(チャイナ・モバイル、China Mobile)と、2位の中国連合通信(チャイナ・ユニコム、China Unicom)は、グーグルとの関係を維持することが困難になりつつあるとの専門家の指摘もある。

■徐々に進むグーグル離れ

 香港の金融サービス会社Mirae Asset Securitiesのインターネット・メディア研究部門を率いるエリック・ウェン(Eric Wen)氏は、「(グーグルを締め出すことは)国営企業にとって必ず実行しなければならないことだろう。民間企業にとっては、それが現実的な決断になる」と語った。「『Google.com.hk』が不安定になったり、閉鎖されたりするようなことになれば、グーグルとの取引を止めるのが論理的な選択というものだろう」という。

 契約者数5億3300万人(2月末時点)のチャイナ・モバイルは、携帯電話用ホームページでグーグルの検索サイトを使用してきたが、今後の計画についてはコメントを拒否している。また、英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が契約者数1億5100万人のチャイナ・ユニコムの陸益民(Lu Yimin)社長の話として報じたところでは、同社は新機種からグーグルの提供する検索機能の搭載を止めることを決めたという。

■マイクロソフトに追い風か?

 現在のところ中国市場はグーグルの売上の中でごく一部を占めているに過ぎないが、長期的な損失は計算が困難だと指摘する専門家の声もある。

 上海のマーケティング会社China Market Research Groupのショーン・レイン(Shaun Rein)氏は、この騒動で利益を享受することになるのは、検索サイトBingの中国版を提供する米マイクロソフト(Microsoft)だろうと述べる。レイン氏は、「多くの携帯電話がグーグルからBingに乗り換えるといううわさがある」と語った。(c)AFP/Joelle Garrus