【2月28日 AFP】生活苦から自分の臓器を違法に売買する貧困層の増加が社会問題になっているエジプトの議会は27日、外国人への臓器売買や臓器移植を禁じる臓器移植規制法案を賛成多数で可決した。

 新規制法では夫婦間の場合を除き、外国人とエジプト人の間での臓器売買や臓器移植が禁止される。違法売買や外国人による移植ツアーに歯止めをかけるのが狙いだ。

 今回の規制法案で特に議論の焦点となったのが脳死判定だ。新法では保健省の管轄下で、3人の委員からなる審査会が複数の検査を経てドナーの脳死を判定する仕組みになっている。この審査会が承認する前に臓器を切除した場合は第1級殺人罪となる。

 国連(UN)の調べによると、食費や生活費をまかなうため、あるいは借金を返済するために自分の腎臓や肝臓を売却するエジプト人は年間数百人にも上っている。エジプトの多くの提供者は貧困層だが、全員が自発的に提供しているとは限らず、強制的な「贈与」もはびこっているとみられ、臓器密売が横行しているブラジルになぞらえ「中東のブラジル」の異名を耳にするほどだ。

 一方、世界保健機関(WHO)によると移植を必要としているエジプト人は4万2000人いると推計されている。(c)AFP