【2月22日 AFP】トヨタ自動車(Toyota Motor)の大規模リコール(回収・無償修理)問題に関し、北米トヨタ幹部が米政府周辺でのロビー活動によって、リコールによる経済損失を限定的に抑えることができたと社内文書で語っていたことが21日、明らかになった。

■ロビー活動で「勝利」と報告

 AFPが同日入手した複数の社内文書の1つによると、北米トヨタの稲葉良み(Yoshimi Inaba、み=目へんに見)社長が、前年7月に「トヨタと業界の勝利」と題したプレゼンを行い、ワシントンD.C.(Washington D.C.)事務所の働きかけで「トヨタに有利な安全規則の設定を確保できた」と語っていた。

 また、重要な安全問題に関する別の文書では、カムリ(Camry)やタコマ(Tacoma)、レクサス(Lexus)などが急加速を起こすことに言及しており、トヨタが前年7月の時点でこれらの問題を把握していたことを示している。

 稲葉社長はプレゼンで、ワシントン事務所がタコマで発生したさびの問題について「調査を回避」したほか、カムリの部品リコールについて交渉した結果、1億ドル(約91億6000万円)を節約できたと述べていた。さらに、米運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety AdministrationNHTSA)の新たな衝突実験を「遅らせる」ことができたとしている。

■フロアマット問題、米当局は03年に把握

 一方、レイ・ラフード(Ray LaHood)米運輸長官は21日、自身のブログで、トヨタのフロアマット問題の調査が開始される3年前の2003年後半には、米運輸省が一部のトヨタ車で「急加速」問題が発生していたことを把握していたと明らかにした。

 この発言に先立ち、米保険大手ステート・ファーム(State Farm)が04年2月に米運輸省へトヨタの急加速問題を報告していたことが明らかになっている。(c)AFP