【2月17日 AFP】米カリフォルニア(California)州沿岸部の霧が過去100年間で著しく減少し、冷涼・湿潤の夏に依存する沿岸部のセコイアの森を脅かしているとする研究が15日、明らかになった。論文は、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表される。

 論文の主執筆者、カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)のジェームズ・ジョンストーン(James Johnstone)氏によると、1901年以来、カリフォルニア州沿岸部の夏季の霧発生時間数(平均)は56%から42%に減少した。1日あたり約3時間の減少という計算になる。

 カリフォルニア州沿岸部の気温は、海岸に近い地域で低く内陸部で高いという特徴があったが、夏季の霧の減少に伴って沿岸部と内陸部の気温差が大幅に縮小した。

 夏季の霧はセコイアからの水分の蒸散を防ぐはたらきがあり、セコイアの樹にとって重要だ。霧の減少と気温の上昇は干ばつストレスを招き、セコイアだけでなく、その周囲の生態系にも影響が及ぶ恐れがあるという。

「霧がなくなったら、セコイアの森がなくなるかもしれない」と研究者らは危惧(きぐ)している。

 なお、霧の減少は周期的に起きる現象なのか、人間活動の影響なのかは不明だという。(c)AFP