【2月16日 AFP】インドネシア・東ジャワ(East Java)州の天然ガス田から有毒泥土が噴出し14人が死亡した事故について、ガス資源探索のために地面を掘削したことによる「人災」であったとの論文が12日の学会誌「Marine and Petroleum Geology」に発表された。

 事故は2006年5月29日に発生した。シドアルジョ(Sidoarjo)県にある採掘会社ラピンド・ブランタス(Lapindo Brantas)所有の天然ガス掘削井戸のそばに突如として「泥火山」の火口が現れ、大量のメタンガスと泥土を噴出して14人が死亡、数万人が避難した。

 英ダラム大(Durham University)のリチャード・デービス(Richard Davies)教授らの研究チームは論文で、2年以上にわたるデータ分析の結果、この泥火山が、掘削が引き金となって発生した可能性があるとした。

 論文によると、ラピンド・ブランタス社は、掘削穴がもちこたえられる圧力を過大評価し、穴の周囲に崩壊予防の枠を入れなかった。

 そして、探索を終えた後に、非常に不安定な状態にあった穴から掘削用ドリルを引き抜いたことで、周囲の岩盤からの水やガスによる圧力が限界に達し、泥土などが火山のように地上に噴出したと考えられるという。

 ラピンド・ブランタス社は「泥火山は280キロ離れたジョクジャカルタ(Yogyakarta)での地震で引き起こされた」と反論しているが、論文の共同執筆者、米カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)のマイケル・マンガ(Michael Manga)教授は、地震は小さく、震源地からも遠いために原因としては考えられないと指摘している。

 オーストラリアの専門家は前年、泥土は現在も1日あたり競技用プール50個分のペースで噴出しており、噴出は今後30年間続くと指摘した。また、地盤沈下により10万人の生活が脅かされているという。(c)AFP