【12月4日 AFP】国連(UN)は3日、米歌手スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)さんを平和大使に任命した。ワンダーさんは、障害者の権利向上に取り組む。

 これまでに数々のグラミー賞のほか、「心の愛(I Just Called to Say I Love You)」でアカデミー歌曲賞を受賞したこともあるワンダーさんは、生まれたころから視力がない。

 ワンダーさんが鍵盤の前を離れ、政治の舞台に足を踏み入れるのは初めてではない。かつて南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)に反対する運動を展開したこともある。

 潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は、ワンダーさんを「音楽の天才」であり、「アパルトヘイトに反対し、貧困の子どもや障害者の支援運動を行った人道主義者」とたたえた。

 潘事務総長は、ワンダーさんは2008年発効の「国連障害者の権利条約(UN Convention on the Rights of Persons with Disabilities)」を促進する役割を担うことになると語った。

 潘事務総長によると、身体に何らかの障害を持つ人は世界人口の10人に1人にのぼっている。

 ワンダーさんは、「世界の10%の人々が、ほかの90%の人々にとって全く関係ないとは思えない。世界をもっと住みやすい場所にしたい。話や歌を通じて伝えたい」と話した。

 平和大使には、ほかにもノーベル平和賞受賞作家のエリー・ウィーゼル(Elie Wiesel)さん、チェロ奏者のヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)さん、俳優のマイケル・ダグラス(Michael Douglas)さんやジョージ・クルーニー(George Clooney)さん、女優のシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)さんらが任命されている。(c)AFP