【10月15日 AFP】米軍の核搭載艦船の日本通過・寄航を黙認する「核密約」をめぐり、米ジョージ・ワシントン大(George Washington University)の国家安全保障公文書館(National Security Archive)は13日、関連する米政府の秘密文書を公開した。日米両政府は密約の存在を否定しているが、公開された文書によると、米当局者は1960年の日米安保条約改定の際、日本との間に合意があったと認識していたことが明らかになった。

 民主党の鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)政権は、密約の存在を解明するための調査を開始している。密約の存在が確認されれば、唯一の被爆国として国際社会に核廃絶を訴えてきた日本に対し、非難の声が上がる可能性もある。

■「必要に応じて」日本を利用、大平首相は「聞き流した」

 今回開示された文書のうち、1960年に米国務省が当時のクリスチャン・ハーター(Christian Herter)国務長官のために準備した米議会向け説明用の秘密メモでは、「核兵器の持ち込み」にあたっては米政府は日本政府と協議する必要があるとしつつ、その一方で、北朝鮮が攻撃を仕掛けてきた場合などの緊急事態においては「必要に応じて」日本の領土を使用できるとされていた。

 また、1963年の公電で、エドウィン・O・ライシャワー(Edwin O. Reischauer)駐日大使(当時)は、大平正芳(Masayoshi Ohira)外相(当時)と秘密裏に朝食をともにし、核持ち込み問題について「完全に合意している」との感触を得たと述べていた。「大平はわれわれの話を軽く聞き流した。確認することもなく、これまでの慣行を変更するよう、われわれを説得するそぶりさえ見せなかった」

■秘密開示で日本に期待

 同公文書館のロバート・ワンプラー(Robert Wampler)主任研究員はAFPに対し、「核兵器関連の情報を公開する際は常に、特に関係当局の抵抗が大きい。だが、われわれは朝鮮半島やベトナム、ソ連、中国などに関する、冷戦時代の合意の数々について研究をしている」と述べ、さらなる文書の公開を申請していることを明らかにした。

「秘密は有名無実化している。日本政府が事実を明らかにしてくれれば非常に素晴らしいことだ」

(c)AFP/Shaun Tandon