【9月28日 AFP】スイスで身柄を拘束された映画監督ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)が起こした1977年の淫行事件で、当時13歳だった被害者は現在45歳、3児の母親となった。事件の事を忘れたいと訴え、ポランスキー監督に対する起訴を取り下げるよう米当局に度々申し入れている。

 ポランスキー監督は1977年3月、サマンサ・ゲイマー(Samantha Geimer)さんの母親に頼み、ハリウッドにあるジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)さんの自宅でゲイマーさんの写真を撮影した。

 ゲイマーさんにシャンパンと薬物を与えると、浴槽でヌード写真を撮り、ゲイマーさんが抵抗したにもかかわらず性行為に至ったという。

 ゲイマーさんは大陪審で「撮影が進むに連れて少し怖くなった。彼に他の意図があることがわかり、私はそこにいるべきじゃないと思った」と証言している。

 また2003年のインタビューで、寝室へ連れて行こうとするポランスキー監督に抵抗しようとしたと語っている。

「『いやよ、いや。行きたくない。こんなことしたくない』というような事を言ったけど、それ以上どうすればいいのかわからなかった」

「2人っきりの状態で、騒いだらもっと怖いことが起きるかもしれないと思った。とても怖かった。いくらか抵抗したあと、これが終われば家に帰れるんだと思った」

 ポランスキー監督は強姦やその他5つの重罪で起訴され、比較的軽度な未成年との性行為については罪を認めた。

■事件を語ることがトラウマに

 しかしその後、ゲイマーさんは「事件の事は随分前に乗り越えた」としながらも、裁判で事件を語ることがトラウマとなってしまった。これまでのインタビューでゲイマーさんは、「誰にも話したくなかった。繰り返し話すことを強要されているように感じた。こんな目に遭っただけでもつらいのに、今度は毎日そのことを考えなければならないのね」と語り、警察や大陪審に対し事件を語ることは辛かったと主張している。

 ゲイマーさんは1980年代、ロサンゼルス(Los Angeles)からハワイ(Hawaii)へ引っ越した。結婚し、3人の息子に恵まれた。

 しかし、ポランスキー監督の逃亡に関する法律問題が解決しないため、ゲイマーさん自身が起訴を取り下げて欲しいと訴えているにもかかわらず、度々世間の目にさらされてしまうという。

 ゲイマーさんは次のように語り、事件の収束を望んだ。

「事件が騒がれるたびに、わたしや夫、子どもたちや母親までもが傷付いている」(c)AFP