【8月21日 AFP】上海(Shanghai)に住む2人のイラン人の若者が、1979年のイラン革命を描き、映画版がアカデミー賞にもノミネートされた漫画『ペルセポリス(Persepolis)』を、先ごろのイラン大統領選を題材にアレンジした漫画『ペルセポリス2.0』を作り、ネットで公開している。

 イラン系フランス人の漫画家マルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi)原作の『ペルセポリス』は、自身の体験をもとに、主人公・マルジの子ども時代の、死と隣り合わせの日常生活を描いたブラックコメディーだ。『ペルセポリス2.0』は、絵はそのままに、ストーリーは今年6月の大統領選とその後の混乱といったものに置き換えられている。
 
 マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領の疑惑の当選、市民らが行った大規模な抗議デモ、そしてイラン政府による弾圧。「抗議のシンボル」となったネダ(Neda Agha-Soltan)さん(26)が死亡するところで、物語は終わる。

 時代の違いを印象づけているのは、21世紀版の主人公・マルジの、次のようなせりふだ。「(新聞を読んでいる母親に向かって)新聞に書かれていることは全部うそ」「本当の情報を知りたかったらインターネットとツイッター(Twitter)を使ってね」――なお、サトラピ氏はこうした「改編」を承諾している。

 全10ページのこの漫画を描いたのは、20代のイラン人2人。本名は明かさず、「Sina」「Payman」のペンネームを使っている。西洋で育ち、現在は上海在住。「希望、怒り、そして悲しみ。わたしたちは、同胞たちの勇気に感銘し、それと同時にイラン政府の行動と偽りの裁判に怒りを覚えています」(AFPに届いたEメール)

 数週間前にネットにアップされて以来、訪問者は10万人を超えている。当局がネットの検閲を強化しているイランからも、この国の現状を世界に伝えていることへの感謝のEメールが多数寄せられているという。
 
 だが、『ペルセポリス』同様、この『ペルセポリス2.0』も、イラン超保守派のメディアから厳しく断罪されているという。(c)AFP/Dominique Chabrol

【参考】漫画『ペルセポリス2.0』