【7月27日 AFP】ニュージーランド北島(North Island)東部マヒア(Mahia)半島のビーチで、遊び好きのイルカが一緒に泳いで遊んだ女性を岸に帰したがらず、女性が疲れ果てて救出されるという事件があった。

 27日の現地紙ギズボーン・ヘラルド(Gisborne Herald)によると、イルカは女性のまわりを囲むように泳いで岸に向かえないようにした。女性は沖に浮かぶブイにしがみついていたところを救出された。

 イルカはこのビーチ周辺に2年以上前から住み着き、地元で有名になった「モコ(Moko)」。普段から遊泳客やボートで沖に出る人たちを追いかけて遊んでいた。

 女性はすっかり消耗したが、モコに嫌がらせをされたわけではないと語った。

「モコと一緒にだいぶ長い時間泳いだわ。泳ぎは得意だから最初は何も心配していなかったけれど、岸へ戻ろうとしたら、モコはまだ遊びたがった。疲れてきて、自分に何が起きてるかを意識し始めたら、パニックになった。海の真ん中で、野生動物1匹とわたしだけ、まわりには誰もいないって思ったら、すごく心細くなった」

 ビーチにいた人たちが女性の叫び声を聞きつけ、手こぎボートで助けに乗り出した。その1人、地元のバーのマネジャー、フアニータ・サイムス(Juanita Symes)さんは「僕たちがそこまで行ったとき、彼女はブイに体を巻きつけて凍えきっていた。凍え死にそうだったよ」と語った。冬のさなかのニュージーランドで、女性はウエットスーツを着用していたが、「完全に体力を消耗していた。もう少し放っておいたら、力が尽きてしまうところだった」

 モコは前年3月、浜辺で座礁し動けなくなったクジラ2頭を、自然保護担当局の職員が海へ帰そうとしたがあきらめかけたところに現れ、狭い水路を抜けて2頭を無事に水先案内しながら沖へ連れ帰ったことがあり、評判になったこともある。(c)AFP


【関連記事】座礁したクジラをイルカが救う、ニュージーランド