【7月10日 AFP】不況の直撃を受け景気後退が深刻なラトビアで、ローンの借り手に融資の担保として「魂」を要求する信販会社が現われ、激怒した教会など宗教団体の間で、正式な調査を求める声が強まっている。

 問題の融資会社は、ラトビアの首都リガ(Riga)に本社を置く「コントラ(Kontora)」。年齢不問、クレジット履歴や担保にできる品物も不要で、どんな顧客にも返済期限90日、年利365%で、最大500ラト(約9万2000円)を融資している。

 同社ホームページには、「わが社がお客様に課す条件は1つだけ、あなたの魂を担保にしていただくことです」と書かれている。返済できなかった場合は、借り手の魂は同社のものになる、というのだ。

 同社社員は、ラトビア紙「Vesti Segodna」の取材に対し匿名で、「単なるビジネスだ。魂が大切だと本当に思っているなら、(担保がなくても)お金は必ず戻ってくるはず。まったく公正な取引だ」と話している。なお、これまでに何人が借りたかは不明だ。

 不景気であくせくしている一般市民の反応はさまざまだ。2人の子を持つ29歳の男性は、「本当?ぜひとも借りたいな。どこにあるの?僕は迷信は信じないから。すばらしいジョークだと思うよ」。一方、過去にローンの支払いでトラブルを抱えたことがあるという47歳の公務員は、「狂っている。ラトビアもここまで来たかと思うと、ぞっとする」と話した。

 一方、宗教界はこうした商法に懸念を示している。同国カトリック教会のジャニス・プジャット(Janis Pujats)枢機卿は8日、AFPの取材に「非常に深刻に受け止めている。単なる風変わりな貸金業者ではなく、悪魔崇拝が背後にあるかもしれない」「こうした会社は人々を精神的にも物質的にも破滅させる」と強く非難。カトリックとルター派、正教会が、内務省に対し調査を依頼したことを明らかにした。(c)AFP