【4月15日 AFP】米ロサンゼルス(Los Angeles)のハイアット財団(Hyatt Foundation)は12日、2009年の「プリツカー賞(Pritzker Prize)」を、スイス人建築家のピーター・ズントー(Peter Zumthor)氏(65)に授与すると発表した。

 同財団のトマス・J・プリツカー(Thomas J. Pritzker)副会長は建築界のノーベル賞ともいわれる同賞の受賞理由を、「作品の意図は明確で、妥協がなく、決然としている。すべての作品に強さと普遍の存在感がある。明確で厳格な思想と詩的次元を組み合わせ、常にインスピレーションを湧かせる作品を作り上げている」と説明した。

 作品の大半はスイスにあるが、ズントー氏はドイツ、オーストリア、オランダ、英国、スペイン、ノルウェー、フィンランド、米国の建築プロジェクトにも幅広く参加している。

 スイス・グラウビュンデンの温泉施設「テルメ・ヴァルス(Thermal Baths)」は同氏の最高傑作とされることが多い。ドイツ・ケルン近郊のブルーダー・クラウス・フィールド・チャペル(Field Chapel to Saint Nikolaus von der Flue)やケルンの聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館(Kolumba Museum)も高く評価されており、選考委員らはこれら3作品を「衝撃的なコンテンポラリー作品。作品がそこに込められた何層もの歴史と完全に一体化している」と表現している。

 ズントー氏は12日、「過去20年間作ってきた作品が認められたのは素晴らしいことだ」と喜びを語った。「われわれと同じ小さな存在である作品がプロの世界で認められたことは誇りであり、若い世代への大きな希望となってくれればいいと思う。作品のクオリティを高めようと努力していれば、特別に宣伝しなくても、その成果がみなの目にも明らかになるのだと」

 スイス人の同賞受賞は、2001年にジャック・ヘルツオーク(Jacques Herzog)、ピエール・ド・ムーロン(Pierre de Meuron)両氏が受賞して以来、ズントー氏で2度目となる。(c)AFP