【4月13日 AFP】100本以上の映画に出演し、アカデミー賞(Academy Awards)助演男優賞で2度のオスカーを手にした英国人俳優マイケル・ケイン(Michael Caine、76)。半世紀にわたり銀幕で活躍してきたこのスターが引退を口にすることを、許さない者はいないだろう。

 17日から北米で封切られる最新作『Is There Anybody There?』でケインは、高齢者施設に入所したものの、そこでの生活に馴染めず奮闘する年老いたマジシャンの役を演じている。

 この記者発表会で、ケインは「(連合国軍最高司令官を務めた)ダグラス・マッカーサー元帥は『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』と言ったが、年老いた俳優にも同じことが言えると思う。自分が映画から引退するのではなく、映画が俳優を退場させるのだ。時にそれが第1作目の後だったという不幸もある。けれど、自分では『引退する』と言ったのに、誰かがやって来て台本をくれることもある。そうすれば、引退したことにならない」と語った。

 今後については「次作は決まっていないし、それを楽しみにもしてはいない。けれど誰かに台本を渡されれば、わたしはまた演じるだろう。やりたいと思える台本がもらえなければ引退、となるんだろう。そのときも、大々的な宣言なんてしない。特別に何かはせず、家にいて料理とか園芸とか物を書くとか、普段やっていることを淡々と続けるだろう」と述べた。

 また、1970年の出演作『最後の谷(The Last Valley)』の故ジェームズ・クラベル(James Clavell)監督との、撮影時のやりとりを振り返った発言も出た。当時、撮影現場でかんしゃくを爆発させたケインを、第2次世界大戦中に捕虜として日本軍に捕らわれた経験のあるクラベル監督はセットの脇に連れ出し「日本人を見ていて学んだことは、決して見知らぬ人の前で激怒しなかったことだ。そんなことをすれば自分をさらけ出しすぎるからだ」と忠告したという。

「それから監督は怒りについて、わたしにたんまり説教した。その日から、映画セットにいるときにカッとなったことはない。今は代わりに家に帰ってから、子どもたちを怒鳴りつけているんだ」(c)AFP