【2月27日 AFP】約150万年前のものと見られる原人の足跡の化石がケニア北部の地層で発見されたと、27日付の米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された。原人が現生人類と同様の歩き方をしていたことを示す最古の証拠だという。

 論文を発表した人類学の国際研究チームによると、同国北部イレレット(Ileret)近くの2つの地層で発見された足跡は、現生人類(ホモ・サピエンス)と同様の長い脚と短い腕を持った最初のヒト科であるホモ・エルガステルまたは初期のホモ・エレクトスのものとみられ、足の構造が基本的に現生人類と同じであることが明らかとなった。

 また、今回発見された足跡からは、通常、化石化した骨からは得ることができない軟部組織の形状や構造に関する情報が得られたと、論文の主執筆者、英ボーンマス大学(Bournemouth University)のマシュー・ベネット(Matthew Bennett)氏は説明する。

 足跡が見つかった2つの地層のうち、上部の地層からは足跡が3か所で発見された。そのうちの2か所ではそれぞれ2歩分の足跡が見つかり、もう1か所では7歩分の足跡と、ばらばらの足跡が複数見つかった。

 5メートル下のもう一方の地層からは、歩行する2つの足跡のほかに、小さな足跡が1つ発見され、チームは子どものものではないかと見ている。

 また、すべての足跡は、親指がほかの指と並行になっており、木の枝をつかみやすいように親指が離れている類人猿とは異なる。また、土踏まずがあり、短い指をしているが、これらの要素は通常は2足歩行とかかわりのあるもので、現生人類に似たものだ。

 イレレットで発見された足跡と同時代のホモ・エルガステルやホモ・エレクトスの化石は、これまでにもタンザニア、エチオピア、ケニア、南アフリカで発見されている。

 1978年、タンザニアのラエトリ(Laetoli)で、360万年前のアファール猿人の足跡が英国の考古学者・人類学者メアリー・リーキー(Mary Leakey)氏によって発見されているが、土踏まずはなく、類人猿のように離れた親指を持っていた。(c)AFP