【2月24日 AFP】アルゼンチン沿岸沖に生息するペンギンが、海洋環境の変化から、餌を見つけるために10年前に比べて40キロも多く泳がなければならなくなったことが原因で、飢餓状態にあるという。

 米ワシントン大学(University of Washington)のディー・ボアスマ(Dee Boersma)教授(生物学)によると、ペンギンは餌を取った後にもまた、40キロを泳いで繁殖地まで戻らなければならず、泳ぐ距離が合計80キロ伸びた分、巣で待つつがいの一方は飢餓状態になっているという。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)南方約1600キロのプンタトンボ(Punta Tombo)動物保護区周辺では、乱獲、汚染、気候変動が原因で、魚の生息数が減少していると、ボアスマ教授は指摘する。餌の減少から同保護区のペンギンのコロニーも縮小しており、つがい数は22年前の30万組から20万組へと20%以上減った。

 餌を求めてこれまでより長く泳がなければならなくなったことから、ペンギンが繁殖地へ戻る時間も遅くなっており、繁殖率も著しく低下している。

 より良い繁殖地を求めて北へさらに400キロ移動したペンギンもいるが、元の繁殖地に残ったペンギンたちは、雨で巣が流されるなど卵や小さなひなの生存が危険にさらされている。

 米野生生物保護協会(Wildlife Conservation SocietyWCS)のペンギン部門ディレクターでもあるボアスマ教授は、米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で12-16日に開催された米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)年次総会で、今回の研究結果を発表した。(c)AFP