【1月29日 AFP】(一部訂正)米国務省は28日、米中央情報局(CIA)の元アルジェリア支局長(41)が薬物を用いて現地の女性に性的暴行を加えた疑いで、米司法当局が捜査を開始したことを明らかにした。

 米ABCニュースの報道によると、元支局長はイスラム教徒への改宗者で、2007年9月にアルジェリアに赴任。在任期間中に、首都アルジェ(Algiers)の公邸で、地元のアルジェリア人女性2人に暴行した疑いが持たれている。元支局長は、前年10月に帰国命令が出され、米国に帰国した。

 連邦検察当局は、元支局長を婦女暴行罪で刑事訴追するため、2人の被害女性から宣誓供述書を取った。連邦大陪審は、早ければ2月にも、起訴の可否を決定する。

 ABCニュースのウェブサイトに掲載された国務省外交安全局の供述書の写しによると、被害者女性の1人は、2007年9月に公邸でのパーティーに招かれた際に、元支局長が女性の目に入らないところで用意して持ってきたウイスキー入りのコーラを飲んだ後、気分が悪くなり意識を失った。翌朝、意識を取り戻した時は、服を着ていない状態で、明らかに元支局長に暴行された後だったという。2008年2月に被害に遭ったという女性の供述も同様の内容だ。

 米CNNによると、アルジェの元支局長の公邸からは、バリウムやザナックスなどの薬物のほか、女性との性的行為を録画したビデオテープ数十本が押収された。中には、ほぼ意識がない状態の女性もいるとみられる。

 米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)の薬物専門捜査官によると、バリウムやザナックスは性的暴行の手段として用いられるという。

 元支局長は国務省外交安全局捜査官の尋問に対し、性的行為は女性との合意に基づいたものだと話しているという。

 事件について、国務省のロバート・ウッド(Robert Wood)報道官代理は、「問題の人物は現在、ワシントンD.C.(Washington D.C.)におり、米政府が事件を捜査中だ」との声明を発表した。

 CIAも「事態を重要視しており、不適切行為に関するいかなる疑惑も徹底して調査する」との声明を発表する一方、元支局長の身元の公表は避けた。(c)AFP