【1月23日 AFP】米国の第16代大統領エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)が1864年の大統領再選直後に行った演説の直筆原稿が、英競売大手クリスティーズ(Christie's)で2月12日に競売にかけられる。

 クリスティーズが22日、米ワシントンD.C.(Washington)で公開した4ページにおよぶ手書きの原稿は、リンカーンが南北戦争中の1864年11月10日、大統領に再選された後に米国の再統一を国民に呼び掛けた演説の草稿。自身の参照用に書かれたため署名は入ってないが、いくつかの単語には下線がひかれており、手描きの修正跡も残っている。

 原稿は1928年からニューヨーク(New York)州郊外の図書館が保管していたが、新館の増築に伴い競売にかけることを決定したという。この原稿が一般に公開されたのは、これまで1976年に一度、それも1日だけだ。

 2002年にクリスティーズで競売にかけられたリンカーン最後の演説の直筆原稿には300万ドルの値がついたことから、クリスティーズは今回の原稿も最低300万ドル(約2億6000万円)から400万ドル(約3億5000万円)の値がつくと予測している。

「正直者のエーブ」と親しまれたリンカーンは、バラク・オバマ(Barack Obama)新大統領も「自分にとってのヒーロー」と公言してきた。20日の就任演説でも、オバマ氏は数回にわたって、奴隷制度の廃止と米国再生の象徴とされる元大統領に言及していることから、リンカーンへの関心は一般の間でも高まっている。

「直筆原稿の出品に、リンカーンマニアは熱狂している」と、クリスティーズのクリス・クーバー(Chris Coover)副社長は競売に期待をかける。

 2009年は、奴隷解放を宣言したリンカーンの生誕200年にあたる。(c)AFP/Virginie Montet