【12月30日 AFP】複数の種類の薬の同時服用は、危険な副作用を引き起こす可能性があるが、高齢者になるほど一般的に、しかも処方薬ではなく市販薬で行っているとする研究結果が「アメリカ内科学会誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)」(12月24日号)に発表された。

 研究を行ったのは米シカゴ大学(University of Chicago)医療センターのチームで、全米で57-85歳の一人暮らしの成人3500人を対象に調査した。

 その結果、約25人に1人が、深刻な相互作用を引き起こす可能性のある危険な薬同士の同時服用を行っていることが判明した。75-85歳男性の場合ではさらに、10人に1人の割合だった。

 論文の著者である同大のStacy Tessler Lindau氏は、「2種類の処方薬を同時に服用すると危険な場合があることは一般的に知られているが、市販薬と処方薬、あるいは市販薬同士でも相互作用を引き起こすことが十分理解されていない」と警鐘を鳴らす。

 5種類以上の処方薬を服用する高齢者は全体の約3分の1、また約半数が処方薬と市販薬や健康補助食品を併用していた。

 危険な薬の組み合わせの半数以上が、アスピリンもしくは血液抗凝結薬のワーファリンなどの使用だ。市販薬で一般的に最も危険なのは、サプリメントとして利用されるイチョウ葉とアスピリンの組み合わせで、同時服用すると内出血を引き起こす危険性がある。

 研究結果の割合を米国の総人口に直すと、約220万人が危険な薬の同時服用を行っていることになる。最近の報告では、65歳以上の米成人が薬による副作用で救急処置室へ搬送される回数は、年間で延べ17万5000回以上に上るという。(c)AFP