【12月11日 AFP】2008年ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーのオスロ(Oslo)市庁舎で開かれ、紛争解決に尽力してきたマルッティ・アハティサーリ(Martti Ahtisaari)前フィンランド大統領(71)に、メダルと賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億1400万円)が贈られた。

 アハティサーリ氏は受賞演説で、「あらゆる紛争は解決できる。紛争が永久に続くことを認める弁明はない」と語った。

 また、「来月就任する次期米大統領が、中東和平を就任1年目の優先課題にすることを期待する」と語り、バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領に対し、大統領就任後は世界で最も長期化している中東紛争の包括的和平交渉に優先的に取り組むよう求めた。

 アハティサーリ氏はさらに、中東和平実現のためには視野を広げる必要があると主張。和平協定の締結には、米国のみならず、欧州連合(EU)やロシア、国連(UN)の参加が必要だと訴えた。中東の和平協定には「イスラエルとパレスチナから、イラン、イラクまで」包括するべきだと語った。

「長期的な成果を求めるのであれば、地域全体に目を向けなければならない。中東情勢を解決するために何かをやっているふりを何年も続けることはできない。結果を出さなければならない」(アハティサーリ氏)

 アハティサーリ氏は、インドネシアやナミビア、北アイルランド、バルカン半島などの紛争多発地帯で、過去30年間にわたって紛争の解決に尽力してきた。

 授賞式にはノルウェー王室や政治家、著名人らが出席した。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes