【11月24日 AFP】歴代米大統領一家を迎え入れてきたホワイトハウスが、次期米大統領に選出されたバラク・オバマ(Barack Obama)氏(47)とその家族を待ち受ける。彼らが、これから起こるであろう生活の変化に不安を感じたとしても、無理のないことだ。

 シカゴ(Chicago)の洗練されたマイホームを後にして、彼らが移り住む住所は、全米で最も特別なワシントンD.C.(Washington D.C.)ペンシルベニア通り(Pennsylvania Avenue)1600番地だ。

 オバマ夫妻は、全米トップの地位と引き換えに、これまでの暮らしに別れを告げねばならない。

「米国大統領一家はみな、平常感覚を保つのに苦心してきた。ホワイトハウスという全国民の関心が集中する場所で、ガラス張りの生活をするのだから」と、リン大学(Lynn University)のロバート・ワトソン(Robert Watson)教授はいう。

 ショッピングセンターでの買い物はもちろん、高機能携帯電話「BlackBerry(ブラックベリー)」の使用やヘアカットも自由にはできない。

 オバマ氏はCBSの報道番組のなかで、「髪を切るにも、秘密の場所に床屋を呼び出さなきゃならないから、馴染みの床屋にも行けない」と冗談まじりに嘆き、ありふれた日常生活を懐かしむことになるだろうと告白している。

 その代償としてオバマ夫妻が手に入れるのは、全132室に45のバスルーム、遊技場10室、映画試写室、劇場、テニスコート付きの米国一の大邸宅だ。

Life in the White House(ホワイトハウスでの生活)』など20以上の著書があるワトソン氏によると、「真夜中におなかが空けば、ボタン一つでチーズトーストからフランス料理まで何でも瞬時に届けられる」という。
 
 ホワイトハウスのシェフたちも、ピーナツバターのサンドイッチやマカロニグラタン、ミートボールスパゲティなど単純な料理を好んだジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領時代より、料理の腕を振るう機会が増えることだろう。

 ワトソン氏は「メキシコ風料理がお気に入りのオバマ氏だが、食の好みは非常に多様だ。西洋と東洋のフュージョン料理は、確実に増えるだろう」とみている。

 しかし、ホワイトハウスにおけるオバマ氏最大の難関は、世界中のメディアが貪欲(どんよく)に注視するなかで、2人の娘、マリア(Malia Obama)ちゃん(10)とサーシャ(Sasha Obama)ちゃん(7)を育てなければならないことだ。 

 オバマ氏は、夫妻の最大の懸念は「娘たちに、楽しく幸福で礼節ある普通の暮らしを送らせること」で、「今のところ、娘たちは特別な意識は持っていないし、態度にも変化はない。現在の彼女たちの生活を、今後の4年間も保っていくことが、わたしたち夫婦の最大の目標だ」とCBSテレビに語っている。(c)AFP