【11月7日 AFP】4日の米大統領選で3人に2人が民主党のバラク・オバマ(Barak Obama)候補に投票したアジア系米国人たちは、オバマ氏が当選した今、自分たちを代表する者が1人でも多く、政権の担い手の一部として指名されることを期待している。

 アジア系米国人の増加は近年、目覚しいが、出口調査によると、投票に足を運んだアジア系有権者700万人の実に62%がオバマ氏を支持した。共和党ジョン・マケイン(John McCain)候補の35%とは対照的な支持率だった。

 アジア系の議員団体「Congressional Asian Pacific American CaucusCAPCA、アジア太平洋系米国人議員会」のマイク・ホンダ(Mike Honda)下院議員は「アジア系米国人が組織した選挙運動の中でも最高の運動の一つとなった。アジア系コミュニティー全体が誇りに思っているはずだ」と語った。

 選挙前調査では、接戦州とされたオハイオ(Ohio)、ペンシルベニア(Pennsylvania)、ワシントン( Washington)、バージニア(Virginia)、ネバダ(Nevada)、ミネソタ(Minnesota)で、アジア系は結果を左右する「決定的要因」になると言われていた。同時に実施された議会選でも、下院では6人の現職アジア系議員が全員、議席を守った。

■オバマ氏の選挙運動を通じて力を増したアジア系コミュニティー

 アジア系コミュニティーの指導者たちがまず期待しているのは、アジア系からの政権入りだ。

 1月20日の就任に向けオバマ政権を準備する「政権移行チーム」は、アジア系3人を含んで5日に発足した。「アジア系にとって幸先の良い第一歩」とコミュニティーの指導者たちは評価する。

 現職のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権下では、常勤・非常勤あわせて300人以上と米国史上最多のアジア系スタッフが働いており、アジア系として初めて閣僚ポストに就いた日系人のノーマン・ミネタ(Norman Mineta)元運輸長官もその1人だ。

 オバマ政権では1000を超える役職のうち「特に閣僚入りや、準閣僚級など重要な上級ポジションへの割り当てを期待したい」とAsian Pacific American Institute for Congressional StudiesAPAICS、アジア太平洋圏議会研究所)のウィリアム・マツモト(William Marumoto)氏は語る。

 マツモト氏によると、閣僚入りの可能性としては、弁護士出身の前述のホンダ議員が教育長官に任命される可能性や、中国系米国人のゲーリー・ロック(Gary Locke)ワシントン(Washington)州元知事などの名が挙がる。

 政府統計によると、アジア系米国人は現在1400万人、米全人口の5%を占める。その数は2050年には4100万人にまで増えると見込まれる。

 リベラル派の政治団体「キャンペーン・フォー・アメリカズ・フューチャー(Campaign for America's Future)」の広報で、民主党の選挙参謀の1人であるトビー・チャウドゥーリー(Toby Chaudhuri)氏はこう語る。「アジア系米国人は増えているが、今回の選挙では力をつけ、組織能力や政治的な洗練度を高め、連携を深め、刺激的なリーダーたちを得た」(c)AFP/P. Parameswaran