【10月17日 AFP】1912年に沈没した豪華客船タイタニック(Titanic)号の最後の生存者の英国人女性が、老人ホームの滞在費用ねん出のため、タイタニック号の思い出の品を競売に掛けることが明らかになった。地元紙サザン・デーリー・エコー(Southern Daily Echo)が16日、報じた。

 この女性はミルビナ・ディーン(Millvina Dean)さん(96)。タイタニックの事故当時は生後2か月で、一家で米カンザス(Kansas)州に移住する途上だった。父親は死亡したがディーンさんは母親と兄とともに救出され、最も若い生存者となった。

 しかし、2年前から老人ホームに入居しているディーンさんは現在、生活費の工面に困っており、今回の競売で3000ポンド(約53万円)の売上げを期待しているという。出品するのは、一家がニューヨーク(New York)に到着した際に地元の人びとから贈られた洋服の入った100年前のスーツケースなどだ。
 
「腰の骨を折って2週間のつもりで入居したのだけれど、感染症にかかってしまって、結局2年もここにいるんだ。もう自宅では暮らせないし、(老人ホームの)滞在費用のために全部売り払うつもりさ。いくばくかのお金になるんだったら何でも売るよ。滞在費は高くつくからね。競売では高く売れれば売れるほどうれしいね」(ディーンさん)

 英サザンプトン(Southampton)からニューヨークに向け処女航海に出発したタイタニック号は、極寒の北大西洋に沈没、乗員・乗客1500人が死亡した。

 約700人いた生存者は、事故から数十年がたつ中で次第に少なくなり、2007年に英国人のバーバラ・ジョイス・デイントン(Barbara Joyce Dainton)さんが亡くなったことで、ディーンさんが最後の生存者となっていた。

 競売は、英オークションハウスのヘンリー・オルドリッジ・アンド・サン(Henry Aldridge and Son)によって、18日に英南西部ディヴァイザス(Devizes)で開催される。(c)AFP