【10月20日 MODE PRESS】世界のファッション大国といえば、パリ、ミラノ、ロンドン、NYといった4大コレクションの開催都市が一般的に知られている。そんな中、積極的な展示会の開催やオリジナリティ溢れるブランドの登場でバイヤーや業界関係者の注目を集めている国がスペインだ。

■靴、ブライダル、皮革製品、、、、、

 スペインを代表する展示会といえば世界中から約1000ブランドが集まる「ブレッド&バター」。欧州最大級の規模を誇り、ヨーロッパ、米国、南米、アジアと世界各国からやってくる来場者の数は10万人近くに上る。レディースでは「ホコモモラ」をはじめ、デニムの「シマロン」、靴の「カンペール」など人気ブランドが勢揃いするほか、国外からも質の高いアパレル商品が一堂に並ぶ。ファッション以外にも音楽やアートなどのイベントも多く、会場一帯となって楽しむスペインらしい“熱いおもてなし”のムードも出展者やバイヤーの心を掴んで離さない理由のひとつといえるだろう。

 スペインの特色を活かした展示会では、国を代表する輸出品である“靴”に特化した総合国際見本市「モダカルサード」、ブライダルウェアに特化した「ノビアエスパーニャ」の2つが挙げられる。

 「モダカルサード」には、国内外の約700社以上の企業が参加。「ハイメ・マスカロ」や「プーラ・ロペス」などの人気ブランドから、地元の若手デザイナーまで、幅広いデザインのシューズが揃う。欧州2位の靴の生産・輸出国であるスペインの靴は、伝統的な職人技と上質なレザーが特徴。世界に通用するクオリティとデザイン性を兼ね備えた靴に出会うことができる場として、業界関係者の注目を集めている。

 今やスペインを代表するファッション輸出品となった“ブライダル”に特化した展示会「ノビアエスパーニャ」には、約50カ国から1万人以上の来場者が集まる。近年、カール・ラガーフェルドやクリスチャン・ラクロワといったデザイナーもバルセロナでウエディングコレクションを発表していることから、ブライダル業界におけるスペインの需要性が伺える。世界のセレブリティに愛され、07年に東京進出を果たした「プロノビアス」をはじめ、今後も花嫁たちの熱い視線はスペインに向けられそうだ。

■国を挙げての積極的支援が追い風

 以前のスペインは、パリやミラノといった巨大なファッション都市の影に隠れてしまい、皮革商品や衣服の生産地としてのイメージの方が強かったといえるかもしれない。しかし、現在のスペインは、バイヤーら関係者にとって「いままでに無いデザインで、クオリティが高いもの」が必ず見つかる宝箱のような存在へと成長を遂げている。

 その理由は様々にあるが、地元企業やデザイナーたちが、各地に根付く職人技や整った生産体制を最大に活かしながら、クリエイティブな要素を差し込んだ商品作りに取り組んだ成果といえるだろう。国外から多くのバイヤーを引きつける魅力的なアパレル展示会や見本市の目に見える成熟も、スペインファッション界全体の成長に大きく貢献している。活発なビジネスの土壌や伝統に惹かれ、ホセ・カストロのように一度海外で学びんだ若手デザイナーたちがスペインを活動拠点に選ぶといったケースも少なくない。

 ファッションを重要な産業のひとつと捉えた、国を挙げての積極的支援もスペイン・ファッションの飛躍の追い風になっている。2008年10月下旬には現在新たなファッション市場として注目されるドバイでスペインの58ブランドが最新コレクションを披露する展示会の開催を予定している。

 クリストバル・バレンシアガやパコ・ラバンヌといった歴史的ファッションデザイナーの輩出国としても知られるスペイン。ただシャープでスタイリッシュなだけでなく、暖かみを持ち合わせた独特のスタイルが、世界的に評価されはじめている。(c)MODE PRESS

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