【9月30日 AFP】米金融システムに対する救済措置として提出された金融安定化法案を、前日の米下院が予想外にも否決し、世界金融危機を回避する希望が砕かれた30日、世界の投資家たちはパニック的な株売りに走った。

 アジア市場では、冷静を呼び掛ける金融当局をよそに投資家らが債権、 金市場などに逃避。過去最大の下落幅を記録した米市場を追って、再び続落した。衝撃が世界を駆け巡る中、ロシアの規制当局は開場前にこの日の市場を停止する措置に出た。
 
 最大7000億ドル(約73兆円)の公共資金投入を可能とするはずだった金融安定化法案を米下院が否決したことは、大きな驚きとして受け止められたばかりでなく、国際市場を動揺させている金融不安を深め、大手金融機関のさらなる破たんを招くのではないかとの恐れも呼んだ。

 結果、30日の東京市場は前日比4.12%安と大きく下げ、約3年ぶりの低水準となり、欧州各市場も午前の取引で、ロンドン(London)が同2.21%、フランクフルトが2.10%、パリが1.96%の全面安となった。

 アジア太平洋地域の各国市場も、午後には多少持ち直したものの打撃を受け、シドニー(Sydney)は同4.3%安で引け、台北(Taipei)は3.55%安、香港は午前の取引終了時で2.4%安となった。
 
 米住宅ローンの焦げ付きと、金融機関の破たんで生じた不良債権の山を買い上げるために金融安定化法案を策定したヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は「世界中の市場がストレスにさらされている。何らかの手を打つ必要がある」と述べ、法案を拒否した米議会に早急に対応するよう警告し、迫った。

 日銀は30日、金融市場の安定化を図るため、計3兆円を市場に供給した。日銀による大量な資金供給は、10営業日連続となっている。(c)AFP/Daniel Rook