【8月5日 AFP】国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は4日、ブラジルとアルゼンチンの五輪代表チームが選手派遣に関する裁定に揺れる中、23歳以下の選手は自動的に五輪に出場するべきだと訴えた。

 北京五輪の男子サッカーの開幕が3日後に迫る中、スポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for SportCAS)は現在も選手派遣に関するスペインとドイツのクラブからの訴えを審議している。

 スペイン・リーガエスパニョーラ1部のFCバルセロナ(FC Barcelona)はアルゼンチン人のリオネル・メッシ(Lionel Messi)の五輪出場に難色を示し、ドイツ・ブンデスリーガ1部のシャルケ04(Schalke04)はラフィーニャ(Rafinha)を、また同リーグのヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)はジエゴ・リバス(Diego Ribas)の両ブラジル人選手をチームにとどめたいとしている。

 3選手はそれぞれすでに北京で五輪代表チームに合流し練習を行っている。

 ブラッター会長は、「現在起こっていることに我々は驚いている(中略)選手たちは代表チームのためにプレーするよう要請されている。20年前に我々は五輪が23歳以下の選手のためのものであるべきと決定した。これまでに23歳以下の選手が自動的に五輪に出場することに対し不満や問い合わせを受けたことはなかった」と語っている。

 FIFAは2週間前に23歳以下の選手を五輪に派遣することはクラブの義務であり、出場を妨げるのは五輪精神に反するという内容の書簡を全ての加盟協会に通達した、しかしクラブ側はFIFAの国際カレンダーに五輪は含まれておらず、それぞれの新シーズンと日程が重なるとして異議を唱えている。

 ブラッター会長は、「私はドイツとスペインのクラブに対し、例え裁定がクラブを支持する内容でも選手を(五輪で)プレーさせるよう要請した。なぜなら彼らはすでにここ(北京)にいるからだ。選手をプレーさせよう。選手は役者だ。選手なしでスペクタクルは有り得ない。五輪に出場しないことは(フットボールファミリーとしての)団結に対する問題だけではなく、五輪精神に対する問題でもある」とし、イタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)に所属するロナウジーニョ(Ronaldinho)や、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属するアンデルソン(Anderson Oliveira)がブラジル五輪代表の一員であることにも言及した。

 メッシは五輪でアルゼンチンのためにプレーしたいと公言していたが、バルセロナのホアン・ラポルタ(Joan Laporta)会長は、もしクラブ側の訴えが認められたら21歳の同選手は、「(クラブに)戻ってこなければならないだろう」と発言している。

 また、ブラッター会長はメッシをはじめラフィーニャやジエゴの五輪出場が拒否されても、選手の入れ替えが認められるのは開幕前に選手が怪我をした場合に限られるという規則により、選手の追加招集は認められないとの見解を示している。(c)AFP/Chris Foley