【7月26日 AFP】カンボジア下院選挙(定数123議席)の投票が27日、実施される。フン・セン(Hun Sen)首相の与党・人民党(Cambodian People's PartyCPP)の勝利が確実とみられる一方、隣国タイと軍事対立では解決の糸口が見つかっていない。

 カンボジア・タイ両国の国境地帯では、11世紀のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)」付近の領有権をめぐり、両国の数千人の兵士が約2週間にわたってにらみ合いを続けているが、投票が近づくにつれ国家主義熱が高まっている。

 この問題でフン・セン首相は強硬姿勢をとっており、タイ側が国際法を無視し、問題となっている地域に軍隊を派遣して地域の平和を脅かしているとして非難している。

 選挙監視団体%%Neutral and Impartial
Committee for Free and Fair Elections in CambodiaNICFEC)のHang Puthea%%代表は、プレアビヒア寺院をめぐる国家的な問題で、選挙運動の影が薄くなったと指摘する。

 フン・セン首相は1985年に首相に就任。以後、23年にわたり着実に容赦なく権力を掌握してきた。今回の選挙もCPPが勝利し、続投する見通しが強い。

 約810万人の有権者が、国内外からの選挙監視要員1万3000人が監視するなか、全国1万5000か所の投票所で投票する。これまでのところ投票はおおむね自由かつ公正に行われる見通しだという。

 最大野党のサム・レンシー党(Sam Rainsy)は、首都では強さを維持するものの、有権者の大半が住む地方では議席数を伸ばせない見通しだ。専門家はCPPが現有の73議席を増やせるかが焦点になると見ている。

 独立系の政治アナリストChea Vannath氏は、「CPPの勝利は疑いの余地がない。有権者は既に誰に投票するか決めている」と語った。

 米国に拠点を置くInternational Republican InstituteIRI)が25日に発表した世論調査によると、カンボジア国民の75%以上が、国が正しい方向に向かっていると考えている。カンボジアにとって汚職は大きな問題だが、選挙戦の主な争点にはなっていない。(c)AFP/Suy Se