【7月24日 AFP】アフリカ初の開催となる「2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)」の準備が着々と進められているが、アフリカではかつて活況を呈していたサッカー産業も、現在は汚職、ファン離れ、政府の無関心、コーチとマネージャーの確執など、多くの悩みを抱えている。

 前年行われた2つのアフリカのトーナメントで準決勝まで勝ち進んだスーダンなどは別として、特に東アフリカとアフリカ中部では、サッカーリーグの存続さえ危ぶまれている国が多い。

■衛星中継が一因、入場料を無料にする国も

 エチオピアの首都では最近、1部リーグの頂上決戦「St Georges」対「Adama City」が行われたが、観客はちらほら。今シーズンの試合の大半は、数百人程度の観客しか集めることができなかった。スポーツジャーナリストのHussein Abdulkeniさんは「エチオピアのサッカー観戦者は年々減っている」と話す。

 その第1の理由は、英国、フランス、イタリア、スペインなど、外国リーグの試合を衛星中継で見るファンが増えたためだ。そのため国内リーグへの関心は薄れつつある。

 ケニアでも状況は似たり寄ったりだ。スタジアムはほとんど空っぽ。観戦しているのは大会関係者と審判だけ、ということもたびたびある。ケニアサッカー協会(Kenya Football Federation)内の確執もよく知られている。

 モーリシャスでは、サッカーチームは、人寄せのために観戦料を無料にせざるをえなくなっている。

■選手の給料を払えない

 人口の約半分が1日1ドル以下の生活を強いられているアフリカの多くの国々では、財政困難のためチームを支えきれないといった問題もある。

 ケニアとエチオピアでは、スポーツチームに民間投資が行われることはほとんどなく、地域に根ざした自主運営のチームは財政が厳しく、地域レベルの試合は言うまでもない。

 ケニアでは過去5年に約10のチームが、選手に給料を払えないという理由で閉鎖された。

 ケニアナショナルチームのコーチ、ボブ・オユギ(Bob Oyugi)氏は、こうした状況の責任はエジプト・カイロ(Cairo)に本部を置くアフリカ・サッカー連盟(African Football ConfederationCAF)にあると明言する。CAFは西アフリカと北アフリカのチームに肩入れして、他の地域は無視しているというのが同氏の主張だ。

■例外的なルワンダとタンザニア

 一方、東アフリカでもルワンダとタンザニアは、政府がサッカーをバックアップして外国人のコーチを招いたり、ナショナルチームに資金援助していることもあり、サッカー産業は伸び続けている。(c)AFP