【7月14日 AFP】先日、パートナーのアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が双子を出産したばかりの俳優ブラッド・ピット(Brad Pitt)。コメディからシリアスまでさまざまな役を演じきり、インディペンデンス系にも有名スタジオの大作にも出演しているが、20年近くになる俳優としてのキャリアの中で、はっきりとわかっているものがひとつある。それは彼の魅力だ。

 現在44歳のピットの本名はウィリアム・ブラッドレー・ピット(William Bradley Pitt)。オクラホマ(Oklahoma)州の中流階級に生まれ、ミズーリ大学(University of Missouri)でジャーナリズムと広告学を学んだ。

 その後、ハリウッド(Hollywood)で俳優の道を志したピットだが、多くの若手同様、当初は恵まれない時期を過ごし、運転手や引っ越しスタッフなどのアルバイトで生計を立て、ファーストフード店でチキンの着ぐるみを着たこともあった。

 しかし1987年以降は運気が好転し、テレビドラマ『Dallas』や『21ジャンプ・ストリート(21 Jump Street)』、さらに低予算映画などで脇役をもらえるようになる。

 そして1991年、『テルマ&ルイーズ(Thelma and Louise)』でジーナ・デイヴィス(Geena Davis)を誘惑する泥棒を演じ、その才能を開花させた。

 続く1993年の『カリフォルニア(Kalifornia)』、1994年の『トゥルー・ロマンス(True Romance)』で準主役級に。同年、トム・クルーズ(Tom Cruise)と共演した『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(Interview with a Vampire)』やアンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins)と共演した『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い(Legends of the Fall)』では、ついに出演者リストのトップにその名を記した。

 ピープル(People)誌が選ぶ「最もセクシーな男性」に2度選ばれているが、その一方、連続殺人犯に翻弄(ほんろう)される刑事を演じたサスペンス『セブン(Seven)』(1995年)や、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたテリー・ギリアム(Terry Gilliam)監督作『12モンキーズ(Twelve Monkeys)』(1995年)などで、俳優として見事な演技の才能を発揮している。

 しかし、称賛は長くは続かなかった。1997年の『セブン・イヤーズ・イン・チベット(Seven Years in Tibet)』やハリソン・フォード(Harrison Ford)と共演した『デビル(The Devil's Own)』は、興行的に失敗。2001年にジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)と共演した『ザ・メキシカン(The Mexican)』やロバート・レッドフォード(Robert Redford)と共演した『スパイ・ゲーム(Spy Game)』も、批評家からの評価はさんざんなものだった。

 そうした中、1999年にエドワード・ノートン(Edward Norton)と共演した『ファイト・クラブ(Fight Club)』では新しいファン層を獲得。2001年にジョージ・クルーニー(George Clooney)らトップスターが終結した『オーシャンズ11(Ocean's Eleven)』に出演し、大ヒットを記録した。

 ハリウッドのトップ俳優としての地位を確立し、2000年に結婚したテレビドラマ『フレンズ(Friends)』の女優ジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)とは、世界で最もホットなカップルと報じられ、ピットのスターの地位をさらに確固たるものとした。

 その後、無敵の戦士アキレス(Achilles)役で出演したウォルフガング・ペーターゼン(Wolfgang Petersen)監督作『トロイ(Troy)』(2004年)がヒット作だとは言い切れないとしても、同年に制作された『オーシャンズ12(Ocean's Twelve)』や翌年の『Mr.&Mrs. スミス(Mr. and Mrs. Smith)』は大成功を収めた。

 そしてジョリーと出会ったのが、この『Mr.&Mrs. スミス』だ。世界で最もセクシーな2人の共演は大きな話題を呼んだが、ピットとアニストンの結婚生活は終わりを迎えることになり、2人は同年末、離婚を発表した。

 すぐにメディアから「ブランジェリーナ」と呼ばれるようになったピットとジョリーは恋人同士となり、2006年5月には2人にとって初の実子となる女児シャイロ(Shiloh)ちゃんが誕生した。

 その後ピットは、国連親善大使として活動するジョリーとともに世界中を回り、2005年の夏に巨大ハリケーン「カトリーナ(Katrina)」が甚大な被害をもたらしたニューオーリンズ(New Orleans)の再建を支援するなどの活動も行っている。

 2007年のヒット作『バベル(Babel)』に出演したあとは、俳優としての活動を抑え、制作側にチャレンジ。自身の制作会社「プランB(Plan B)」を通じて、マーティン・スコセッシ(Martin Scorcese)監督の『ディパーテッド(The Departed)』やジョリーが主演した『マイティ・ハート/愛と絆(A Mighty Heart)』でプロデューサーを務めている。

 しかし俳優としてのピットの人気は依然として高く、2007年のヴェネチア国際映画祭(64th Venice International Film Festival)では『ジェシー・ジェームズの暗殺(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)』で主演男優賞を獲得。今後は、年齢を重ねるとともに若返っていく男を演じた『キュリアス・ケース・オブ・ベンジャミン・バトン(The Curious Case of Benjamin Button、原題)』と、クルーニーと共演したコーエン兄弟監督作『Burn after Reading』の2本の作品公開を控えている。(c)AFP