【6月29日 AFP】(一部更新)英国で香港(Hong Kong)から帰国した女性が結核で死亡していたことが明らかになった。英国および香港の保健当局では、この女性と接触のあった人物たちの追跡を急いでいる。

 死亡したのはクレア・レノン(Clare Lennon)さん(29)。香港の英字日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post、南華早報)によれば、香港からキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)の旅客機でロンドン(London)に向かった7日後の4月24日に、イングランド南西部の病院で亡くなった。
 
 香港の保健当局は29日、生前この女性に接近したことがあり、感染のリスクが高いとみられる328人全員に連絡をとり、医学的な検査を実施したと述べた。328人には死亡したレノンさんが4月17日に搭乗したキャセイパシフィックCX257便の乗客14人、女性が教えていた学校の生徒や教師たち300人が含まれている。検査の結果、2人に結核の陽性反応が出たが、レノンさんと接触したこととの関連はまだ明らかではないという。また、レノンさんが検査を受けた際、がんを疑わせる異常が見つかっていたという。

 レノンさんが4月10日から15日に治療を受けた香港の聖パウロ病院(St. Paul's Hospital)は、レノンさんが結核であると診断された後、保健当局への速やかな報告を怠ったとして調査を受けている。同病院の医療責任者は29日、AFPに対しレノンさんに結核の検査を3回行い、うち1回で陽性となったことを明らかにした上で、次のように述べた。

「検査結果が陽性でも、必ずしもその患者が活動性結核にかかっているとは限らない。その患者が過去に感染して、免疫を身につけた可能性があるからだ。我々はコンサルタントから、この患者が結核の感染源になる危険はないという報告書を受け取っている。不要な社会不安を起こさないため、この点ははっきりさせておきたい」

 しかし、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、病院が当局に報告したのは、コンサルタントの報告書を受け取ってから8日後の4月26日だったと報じたことで病院は批判を受けている。病院側は、看護師がコンサルタントの報告書に受け取った当日に担当医の手に渡していなかったことを認め、再発防止措置をとったことを明らかにした。

 レノンさんの友人の1人はサウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、レノンさんが数週間にわたって咳き込んでいたこと、入院直前には極端にやせてしまったことなどを語った。

 人口690万人の香港での結核感染の報告例数は、2006年から2007年にかけて5856件から5545件に減少した。(c)AFP