【6月21日 AFP】(一部更新)ロンドン西部アクスブリッジ(Uxbridge)の治安判事裁判所は20日、今年4月3日にヒースロー空港(Heathrow Airport)で警察官2人に暴行を加えたなどとして起訴されていた英国人スーパーモデル、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell、38)被告に200時間の社会奉仕活動を命じる判決を言い渡した。

 キャンベル被告は最高で6月の禁固刑と、5000ポンド(約100万円)の罰金が課せられる可能性があったが、起訴されていた6つの罪を認めたため禁固刑にはならなかった。

 裁判所は判決公判を20日まで延期したが、キャンベル被告には社会奉仕活動を考えていると伝えていた。

■その日何が起きたのか

 メラニー・パリッシュ(Melanie Parrish )検察官によれば、今年4月3日、米ロサンゼルス(Los Angeles)行きのブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)機に搭乗したキャンベル被告は当初フレンドリーでプロフェッショナルな態度を見せていたという。

 しかし、マイルズ・サザーランド(Miles Sutherland)機長が、手荷物紛失のため離陸が遅れる可能性があると乗客に告げると機嫌を損ねた。当時オープン直後だったヒースロー空港の第5ターミナルでは手荷物の紛失が頻発していた。

 さらに、契約で米国のトークショーに出演する際に着ることになっていたイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)の衣装が入っていたバッグが紛失したことを告げられると、操縦室から出てきて事情を説明し、キャンベル被告が取りうる手続きを説明したサザーランド機長に対して怒りを爆発させ、同機長に飛行機を降りて自分でバッグを探せと命令した。

 パリッシュ検察官は「一連の出来事を『困難な状況だった』と描写するのは、かなり控えめな表現だといえるだろう。キャンベル被告は機長の言葉に耳を貸そうとせず『聞きたくない!』と叫んだのです」と述べた。

■激昂するスーパーモデル

 検察によれば、その後キャンベル被告は携帯電話をとって「あいつらあたしのバッグをなくしたのよ。別のフライトを押さえて。マスコミを呼んで。弁護士を呼んで」と話した後、サザーランド機長に向き直り、「あたしが取りうる手続き、なんてどういうつもり?あんたが自分であたしのバッグを探すのよ」と絶叫した。

 機長が立ち去ろうとすると、キャンベル被告は「この人種差別主義者!あたしが白人だったらそんなことはしないはずよ!」と述べた。

 心配した客室乗務員が警察を呼び、飛行機から強制的に降ろすと4度にわたり警告したがキャンベル被告は動こうとしなかった。

 1人の警察官が前に進みキャンベル被告の腕をつかもうとすると、キャンベル被告は「激昂し、両腕をめちゃくちゃに振り回した」。この際、この警察官の腕を携帯電話で殴打した。

 その後、別の警察官が腿をスチレットヒールのブーツで蹴られる騒ぎになり、この便のファーストクラスに唯一乗り合わせていた別の乗客1人が安全のため客室乗務員用のキッチンに移動した。

 キャンベル被告はその後、1人目の警察官の腕をつかんでつばを吐きかけたため、この警察官は「警察官に対する暴行」でキャンベル被告を逮捕した。

 するとキャンベル被告の怒りはさらに激しくなり、「さわるな!」と叫びつつ脚をばたつかせながら警察官たちに「これはあたしが黒人女性だからなのね!あんたたちみんな人種差別主義者よ!あんたたちみんな訴えてやる!」などと叫んだ。

 6つの罪状のうち3つは警察官に対する暴行で、もう1つはハラスメント、不安、苦痛を引き起こす恐れのある乱暴な行為、残り2つが客室乗務員に対する脅迫的な言葉あるいは行為だった。(c)AFP