【6月13日 AFP】宇宙旅行会社の米スペースアドベンチャーズ(Space Adventures)は11日、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)への初の個人旅行を、ロシア連邦宇宙局(Roskosmos)と提携して2011年にも実施し、米インターネット検索大手グーグル(Google)のセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)共同創業者(34)が参加する可能性もあると発表した。

 スペースアドベンチャーズ社のエリック・アンダーソン(Eric Anderson)最高経営責任者(CEO)は記者会見で、「99%の人が宇宙体験を望んでいるはず。わが社は年に少なくとも1回、ISSへのミッションを実施することを目指す。宇宙旅行の費用を出せる若い富豪は増えている」と語った。

 グーグルのブリン氏は500万ドル(約5億4000万円)の前払い金で座席を予約。旅行には特別仕様のロシアの宇宙船ソユーズ(Soyuz)を用い、民間人2人が搭乗可能だが、詳細な日程はまだ分からないという。

 アンダーソンCEOは「ブリン氏は3年後か、または5年後になるかもしれないが、とにかく宇宙に行く。それまでに訓練が必要だ」と語った。ブリン氏は、ラリー・ペイジ(Larry Page)共同創設者と共に、天文学的な成功を収めた検索エンジン「グーグル」を設計して富を築いた。

■10月に6人目が宇宙旅行へ

 スペースアドベンチャーズ社は2001年、米国の実業家デニス・チトー(Dennis Tito)氏を客として世界初の宇宙旅行を実現させ、紙面をにぎわせた。その後、南アフリカのマーク・シャトルワース(Mark Shuttleworth)氏(2002年)、米国のグレッグ・オルセン(Greg Olsen)氏(2005年)、イラン出身の米実業家アヌーシャ・アンサリ(Anousheh Ansari)氏(2006年)がこれに続いた。

 ハンガリー生まれの米国人チャールズ・シモニー(Charles Simonyi)氏が、今年4月にようやく5人目として宇宙旅行を果たした。シモニー氏はマイクロソフト(Microsoft)の元ソフトウエア開発者で、2500万ドル(約27億円)の旅行について「素晴らしかった」と感想を語っている。

 今年10月に6人目の宇宙旅行者となるコンピューターゲーム開発者のリチャード・ギャリオット(Richard Garriott)氏は記者会見で、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士だった父のオーウェン・ギャリオット(Owen Garriott)氏と同じ道をたどるのを楽しみにしていると述べた。

■お手軽?な無重力体験も人気

 ブリン氏はすでに、スペースアドベンチャーズ社の「ゼロG体験(Zero G)」と呼ばれる別のプロジェクトにも出資している。このプロジェクトでは、フロリダ(Florida)州ケネディー宇宙センター(Kennedy Space Center)とラスベガス(Las Vegas)の空港から飛び立ち、無重力状態を体験する。

 同社によると、2004年に開始したプロジェクトでこれまでに200回の飛行が実施され、約5000人が参加した。ボーイング(Boeing)727-200型機での90分間の飛行で15回、約30秒の無重力状態を体験する。費用は団体(35人)で13万5000ドル(約1500万円)、個人では3950ドル(約43万円)となっている。(c)AFP