【6月7日 AFP】フランスの政府当局とカマンベール(Camembert)チーズ生産者は5日、原産地呼称統制(Appellation d’Origine ControleeAOC)制度の改定に合意し、「ノルマンディー(Normandie)産カマンベールチーズ」に生乳の使用を義務付けることを決めた。これにより数か月続いた「カマンベール戦争」に終止符が打たれることになった。

■乳牛2頭に1頭はノルマンディー原産

 これまで、ノルマンディー産カマンベールチーズの原料となる牛乳について規定はなかったが、新規定では生乳を原料としたものだけがカマンベールチーズと認められ、また使用される生乳の産地はノルマンディー地方の、これまでの半分の地域のみに限定された。

 さらに生乳を産む乳牛の2頭に1頭はノルマンディー原産の必要があり、また最低6か月間は同地の牧草で、残り期間は干し草での飼育が求められる。

■2大製造所は生乳の義務化廃止を主張

 カマンベールチーズをめぐる数か月にわたる論争の発端は、2大製造所のラクタリス(Lactalis)とイズニー(Isigny-Sainte-Mere)が前年3月、安全性の問題から一部の製品について生乳の使用を中止したことによる。両社は、AOCのカマンベール認証で、生乳使用の条件を外すよう訴えていた。両社はAOCで認められた生乳カマンベールのシェア80%を占める。

 一方、業界関係者が設立した小規模ロビー団体の「Committee for the Defence of Authentic Camembert(本物のカマンベールチーズを守る委員会)」は今年2月、AOCのカマンベール認証で生乳使用の義務が保持されるよう求めた。同団体は新規定を「大きな前進」として歓迎した。(c)AFP