【6月4日 AFP】試験段階の脳腫(しゅよう)瘍治療向けワクチンの投与によって、脳腫瘍患者の生存率が2倍以上になるという小規模臨床試験の結果が2日、発表された。

 このワクチンは、米医療会社Avant Immunotherapeuticsが開発した。免疫機構を刺激し、一般的な脳腫瘍である多形性膠芽腫(glioblastoma multiformeGBM)を攻撃する。

 臨床試験は、大きなGBM腫瘍を持つ患者23人を対象に実施された。

 通常の治療を受けた患者の生存期間の平均値が14か月であるのに対して、ワクチンを投与された患者の生存期間の平均値は33か月となった。

 また臨床試験の結果、ワクチンの投与は、手術後の腫瘍の成長を遅らせる効果もあることが分かっている。通常は6か月で腫瘍が再発するが、ワクチンを投与された患者は16.6か月まで再発しなかった。

 シカゴ(Chicago)で開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical OncologyASCO)の年次会議で、米ノースカロライナ(North Carolina)州のデューク大学(Duke University)のジョン・サンプソン(John Sampson)医師が、臨床試験結果を発表した。

 テキサス(Texas)州のM.D.アンダーソンがんセンター(M.D. Anderson Cancer Center)の研究者マーク・ギルバート(Mark Gilbert)氏の説明によると、GBMとは、予後不良の侵襲性の強い悪性腫瘍である。

 患者の半数は、腫瘍が見つかってから1年以内に死亡し、3年以上生存する患者はごくわずかだ。摘出手術をしても、術後の治療を怠った場合、腫瘍は2-3か月以内にもとの大きさにまで成長する。

 2日にノースカロライナ州ダーラム(Durham)で手術を受けたエドワード・ケネディ(Edward Kennedy)上院議員も、GBM腫瘍を長年患っている。(c)AFP