【5月31日 AFP】日本水泳連盟(Japan Swimming Federation)と水着の提供契約を結ぶ日本の水着メーカー3社は30日、英水着メーカーのSPEEDOが開発し、世界記録が続出している最新の競泳用水着「Fastskin LZR Racer」に対抗する改良版の水着を発表した。

 日本水泳連盟と契約するミズノ(Mizuno)、アシックス(Asics)、デサント(Descente)の3社は、期限の30日までにできる限りの最高のものを用意したと話した。

 日本水泳連盟の上野広治(Koji Ueno)競泳委員長は記者会見で「3社とも自信を持ってスピード社の水着にも勝るものを用意してくれた。3社の水着は期待できると私は思っている」と話した。

 ミズノと個人契約を交わしている北島康介(Kosuke Kitajima)をはじめとする多くの日本人選手たちは、ミズノ、アシックス、デサントの3社のいずれかの水着を着用する契約を交わしているが、選手の多くは口々にスピード社製の水着をより好むと話していた。

 5月7日に日本水泳連盟は、上記の3社に対して30日までにスピード社が米航空宇宙局(NASA)の協力を得て開発した最新水着「LZR Racer」に相当する水着を開発するよう要請した。最新水着のテストの結果はまだ一般には公表されていない。

 日本水泳連盟は、6月10日までに選手に契約の一部を変更し、スピード社の水着の着用を許可するか、改良された3社の水着を着用するかを決定するとしている。

 日本の競泳選手たちは、2月にスピード社製の水着「LZR Racer」が発表されて以来、その水着を着た選手たちによって18の世界記録が更新されたことに驚いている。

 ミズノの上治丈太郎(Jyotaro Ueji)専務は「改良された水着はスピード社の水着のように、理想的な姿勢保持と水中での抵抗を減らすために選手の体を締めつける新素材を使用している。我々は約50年も水着ビジネスを続けているが、これまで扱ってきた素材も、型もあらゆるものをリセットした」と語った。

 アシックスは、改良した新水着に強力なキックを生むために脚部を締めつけるポリウレタン加工した素材を使用したと発表した。

 デサント社も、スピード社製の「LZR Racer」を綿密に分析し、ポリウレタン加工した素材をベースに改良した水着を発表している。

 一連の水着問題は、5月に入ってから世界中のウェットスーツメーカーに超高速合成ゴム素材のバイオラバースイム(Biorubber Swim-SCS Fabric)を提供してきた山本化学工業(Yamamoto Corp)が、3社に対してバイオラバースイムの提供を持ちかけたことからさらなるねじれを起こしていた。

 山本化学工業の山本富造(Tomizo Yamamoto)社長は「バイオラバースイムは、世界で最も速い水泳素材です」と話している。

 アシックスとデサントは改良した水着のうちの一種類に山本化学工業の新素材を部分的に使用したと話している。(c)AFP