【5月30日 AFP】戦闘や政情不安で、ここ数年「静かな」夏を過ごしていたレバノンに、サマー・フェスティバルが帰ってくる。29日、主催者が明らかにした。

 ジョゼフ・サルキス(Joseph Sarkis)観光相は「夏フェス」再開を発表する記者会見で、国内有数のフェスティバル「Beiteddine Festival」の開催計画を明かし、「苦難の時期が過ぎ去り、暗雲が晴れたレバノンの、本当の顔が見えるようだ。レバノンの新たな未来に目を向け……文化と人生を愛する心を表現する夏にしよう」と語った。

 国内では2006年7月にイスラエルと民兵組織ヒズボラ(Hezbollah)の間で戦闘が勃発。さらに2007年には長引く政情不安と、パレスチナ難民キャンプにおける軍とイスラム系民兵組織との対立が原因となり、2年にわたって複数の夏フェスが中止を余儀なくされた。

 AFPのインタビューに対しフェスティバル主催者は「Beiteddineフェスティバルの26年間の歴史の中で、中止を余儀なくされたのはこの2年間だけだ。それ以外の年は、なんらかの理由で一部未開催になることはあっても、フェスティバルそのものを中止することはなかった」と語った。

 Beiteddineフェスティバル以外にも、シリアとの国境に近い古代ローマ神殿の遺跡で行われる「バールベック国際フェスティバル(Baalbek International Festival)」も今年は開催が予定されている。
 
 Beiteddineは7月11日から8月12日までの予定で、首都ベイルート(Beirut)南東のShouf山岳地帯に19世紀に建てられた宮殿風の邸宅で開催される。周辺は緑の丘で、ひなびた村々が広がり、観光地としても人気がある。

 今年は、シンガーとして知られるブラジルのジルベルト・ジル(Gilberto Gil)文化相をはじめ、レバノンはもちろん、イラクやモロッコからもミュージシャンを招聘する予定だ。過去にはエルトン・ジョン(Elton John)やイタリアのオペラ歌手、アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)、スペインのテノール歌手、プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)といった大物が参加したこともある。

 両フェスの主催者は7月27日、ベイルートで、レバノン出身のポップシンガー、ミーカ(Mika)のコンサートも共催する。(c)AFP