【5月28日 AFP】イスラエルのエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の収賄疑惑で、同首相に賄賂を贈ったとされるユダヤ系米国人実業家モリス・タランスキー(Morris Talansky)氏(75)が27日、エルサレム(Jerusalem)地裁で宣誓証言を行い、選挙資金などで同首相に多額の資金を提供したことを認めた。オルメルト首相は厳しい立場に立たされ、辞任に追い込まれる可能性もある。

 タランスキー氏は、7時間におよぶ証言の中で、オルメルト首相が2006年に首相に就任するまで、15年間にわたって数万ドル(数百万円)に上る違法な資金を提供していたことを認めた。具体的には、現金を入れた封筒をオルメルト首相本人や秘書などに手渡していたという。

 イスラエルの公共ラジオによると、タランスキー氏は「1991年と1992年の(選挙)キャンペーンのために、オルメルト(首相)に金を渡した。彼は現金の方がいいと言ったので、最初はわたしの個人資産から、その後は彼のために米国で集めた金を渡していた」と語ったという。

「1998年にも、1回につき約3000-8000ドル(約31-83万円)を渡していた。オルメルト(首相)は小切手での受け取りを嫌ったため、常に現金だった」
 
 タランスキー氏は、ニューヨーク(New York)でオルメルト首相の選挙キャンペーンのために約10万ドル(約1000万円)を集めた上に、個人資産から資金を貸しつけたと語った。この総額は約15万ドル(約1560万円)に上ったという。

 オルメルト首相は、高価な葉巻や万年筆や時計が好きだったという。さらに、タランスキー氏は、オルメルト首相がイタリアで休暇を過ごすために約2万5000ドル(約260万円)を貸しつけたことに加え、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の高級ホテル、リッツ・カールトン(Ritz Carlton)に3日間宿泊するためにクレジットカードまで貸していたことも明らかになった。これらの資金は、まったく返済されていないという。

 タランスキー氏は、湾岸戦争の起こった1991年ごろにオルメルト首相と知り合い、尊敬するようになったという。一方で、一連の資金援助に関して、見返りは一切受け取っていないと主張している。

 オルメルト首相の弁護士は、タランスキー氏の証言は「驚くべきことではなく」、同首相は違法なことは何も行っていないとあらためて主張した。(c)AFP/Charly Wegman