【5月28日 AFP】サッポロビールは27日、国際宇宙ステーション(ISS)内に保管されていた大麦種子の子孫を原料にした世界初の「宇宙ビール」を実験的に醸造すると発表した。

 研究チームは、将来的に人類が宇宙空間で過ごす時間が増え、宇宙遊泳後に冷たいビールを一杯やりたいという人が出てくることを想定して開発に踏み切ったとしている。

 サッポロホールディングス(Sapporo Holdings)によると、2006年にISS内で5か月間保管されていた大麦種子の3世代目の子孫を原料にし、11月にも大瓶100本程度を醸造する。なお、市販の計画はないという。

 計画は、岡山大学の杉本学(Manabu Sugimoto)准教授(生物学)の協力のもとに行われた。同教授は、宇宙での食用植物の栽培に関するロシア科学アカデミー生物医学研究所との共同研究で、この大麦種子を利用している。

 杉本氏によると、大麦は高温や低温といった比較的過酷な環境でも生育し、繊維質や栄養分も豊富なため、宇宙で栽培するのに適しているという。なお、地球で育てた大麦と宇宙で育てた大麦の間には、これまでのところ何らの相違も見いだされていないという。

 7月にカナダの学会でこの大麦に関する新たなDNA分析結果を発表するという杉本氏は、「最終的には、食べ物をただ作るのではなく、おいしいものを作りたい」のだという。(c)AFP