【5月27日 AFP】「007」シリーズの原作者イアン・フレミング(Ian Fleming)の生誕100周年を迎える28日に、英国の現代作家によるシリーズ最新小説『Devil May Care』が出版される。

 著者は、『よみがえる鳥の歌(Birdsong)』、『The Girl at the Lion D'Or』、『シャーロット・グレイ(Charlotte Gray)』の戦争三部作で知られる作家、セバスチャン・フォークス(Sebastian Faulks)氏。

 先日行われた記者会見で「今回出版する小説はオリジナルの精神に基づいた、とても楽しいものだ」と語った。新作はわずか6週間で書き上げたという。ちなみに、お気に入りのジェームズ・ボンド(James Bond)役はショーン・コネリー(Sean Connery)だそうだ。

 フレミングの遺族の要望で実現した同小説は、フレミングのスタイルで書かれたシリーズ15冊目。ストーリーは出版されるまで極秘とされているが、出版元によれば、オリジナル作品の精神にのっとったものだという。現時点でわかっているのは、舞台が冷戦時代の1967年で、舞台はパリ(Paris)、ロンドン(London)、中東だという点のみ。

 フレミングの遺族はこれまで、キングズリイ・エイミス(Kingsley Amis)を含む3人の作家にシリーズ続編の執筆を依頼してきたが、すべての続編が成功したわけではなかった。

■新作もさっそく映画化権の交渉中

 フォークス氏によれば、新作の映画化については、数か月以内に決定する見通し。

 映画版ではこれまで、ショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビー(George Lazenby)、ロジャー・ムーア(Roger Moore)、ティモシー・ダルトン(Timothy Dalton)、ピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)、ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)らがボンドを演じている。映画22本目となる『Quantum of Solace』は、現在制作中で本年後半に公開を控えている。

 また、デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙によれば、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo Di Caprio)の制作会社が、英国のダミアン・スティーブンソン(Damian Stevenson)の脚本でフレミングの伝記映画を制作するという。

■上流階級のプレイボーイだったフレミング

 国会議員の家庭に生まれ、エリート教育を受けたフレミングは、株式仲買人や銀行家を経て、ロイター(Reuters)通信でジャーナリストとして働く。私生活ではプレイボーイとして名をはせていた。第二次世界大戦中は、海軍情報部で数々の任務に携わった。

 1952年、43歳のフレミングはジャマイカの別荘でカリブ海を望みながら、シリーズ第1作目となる『カジノロワイヤル(Casino Royale)』を書き上げる。世界各地を舞台にスパイが華々しく活躍するという内容は、当時大人気を博した。上品で洗練されたボンドに、戦後の厳しい生活の中で英国の誇りを見出したのだ。

 1952年から亡くなる1964年まで、フレミングはシリーズ14冊を執筆。最終作『007号/ベルリン脱出(Octopussy)』は1966年に出版された。(c)AFP/Lucie Godeau