【5月25日 AFP】英国防省の調査報告書によると、スコットランド西部のスカイ島(Isle of Skye)沖で2002年、英海軍の原子力潜水艦トラファルガー(HMS Trafalgar、5200トン)が士官候補生の訓練中に海底に衝突していたことが分かった。英メディア各社が23日に報じた。

 この事故で乗員3人が負傷。船体の修理には500万ポンド(約10億円)を要した。

 トレーシングペーパーや付せんを地図に張り、実戦形式で航路を決定する訓練を実施していた。衛星誘導システムの電源は切られていた。テレグラフ(Telegraph )、タイムズ(Times)両紙によると報告書では、海流速度の計算に間違いがあり、「海図に著しい乱れが生じ、推定位置の割り出しにも初歩的な誤りがあった」という。

 衝突の1分半前に司令室の誰かが「コースを変更しなければならない。危険すぎる」と言ったというが間に合わず、時速26キロで水深50メートルの海底に衝突した。海底は非常に浅くなっていた。

「衝突時、船首が右舷に向き急激に減速したため乗員の大部分がバランスを失い少なくとも3人が軽傷を負った」と報告書は指摘。

 タイムズ紙によると、衝突直後、潜水艦司令官は浮上して船体や原子炉に損傷がないかを調べるよう命じた。

 潜水艦は無事だったが、集中的な修理が必要だった。報告書は「原子力潜水艦がこのような訓練を行う際は航行上の安全が確実に確保されている場合に限定すべきだ」としている。

 英海軍には全部で7隻のトラファルガー級原子力潜水艦が就役している。トラファルガーは全長約85メートル、乗員130人、スピアフィッシュ(魚雷)、トマホークミサイルを装備している。(c)AFP