【4月30日 AFP】韓国の首都ソウル(Seoul)で27日に行われた北京五輪の聖火リレーで、一部の中国人学生が韓国人の抗議グループと衝突し乱闘になったことをめぐり、厳しい対応をとる構えの韓国政府と、中国人留学生らは聖火を守っただけだとする中国政府との間で緊張が高まっている。外交問題に発展する可能性も危惧(きぐ)されている。

 韓国の聯合ニュース(Yonhap News Agency)によると、韓国の韓昇洙(ハン・スンス、Han Seung-Soo)首相は閣議で、ソウルでの聖火リレー時に韓国人抗議グループが中国人学生らから暴行を受けたことは、韓国の威信に大きな傷をつけることで「法的・外交的措置が必要だ」と語った。どのような措置をとるかについては、言及しなかったという。

 金慶漢(キム・ギョンハン、Kim Kyung-Han)法相も閣議で、「違法な暴力的抗議活動」は非常に遺憾だとして「国籍に関わらず責任をもって厳格に対処していく」と語った。

 韓国警察当局者は、中国大使館関係者はリレーを迎える中国人学生数を約1000人としていたが、実際は6500人だったと指摘。さらに「中国側は聖火リレーが妨害されることに神経をとがらせていたが、暴力行為などを行ったのは一部の中国人学生の方だった」と語った。
 
 韓国では、中国人学生らによる暴行の様子を撮影した動画が広く閲覧されており、韓国国民の間にも怒りが高まっている。

 一方、中国側は、中国人学生らの行動に対する直接的な非難を避けている。

 中国外務省の姜瑜(Jiang Yu)報道官は「一部の中国学生が聖火を守るために立ち上がったが、これは自然なことだ。過激な行動があったかもしれないが、現場の状況を理解しなければいけない」と語るとともに、「彼らは聖火リレーの中止や妨害を試みた人々と小競り合いになったに過ぎず、大規模で暴力的な聖火リレーの妨害活動とは全く異なるものだ」と述べた。

 その一方で同報道官は「負傷した韓国の市民や警察官の方々にはお見舞いを申し上げる」と述べ、一定の配慮を示した。(c)AFP/Park Chan-Kyong